• ドイツ選挙後の欧州改革進展に期待
  • ECBの政策正常化は、市場を不安定にする原因にはなるまい
  • 通貨ユーロ、株式、社債等クレジットへの投資機会

ドイツ選挙後の欧州改革進展に期待

9月24日、ドイツ連邦議会選挙の結果、メルケル氏率いる与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第一党を維持した。社会民主党(SPD)との連立を解消し、企業寄りの自由民主党(FDP)や環境政党の緑の党との連立政権樹立までの交渉に時間を要し、当初は混乱が予想されるものの、経済改革で実績を積み上げたメルケル氏の4期目続投はおおむね予想通りで、金融市場への短期的な影響は小さいとみられる。今後は、これを契機に、ユーロ圏での重要な構造的な改善が期待される。1つはEU(欧州連合)統合の深化で、もうひとつは労働力人口の増加だ。

まず、EU統合の深化について、ユンケル欧州委員会委員長は9月13日の演説で、EU財務相の創設を提案した。欧州金融危機で政府の債務返済に問題が生じたような時に、EU財務相がEU加盟国の財政や経済を監督するというものだ。ドイツやフランスがユーロ圏の独自予算を編成する構想とは異なるが、今後、EU各国の財政統合に向けた構造改革を行ない、EUとユーロを守り育てていく議論がさらに活発化しそうだ。