• 目先のスローダウンは、その後の改革の成果を意味する
  • 企業も政府の改革に期待している
  • スマートフォンで政治・経済改革も

目先のスローダウンは、その後の改革の成果を意味する

10月30~31日にインドの首都デリーを訪れ、いくつかの社債発行企業からヒアリングする機会を得た。まず、インドの経済・金融市場の概況についてだが、2017年4-6月期実質GDP成長率は前年同期比5.7%増となり、伸び率は低下傾向にある。これは、高額紙幣廃止に関わるデマネタイゼーション(廃貨)で SME(中小企業)の雇用が悪化したことや、GST(物品サービス税)の導入や輸入の伸び鈍化などが主な要因だ。あるインド株ストラテジストによれば、そもそも過剰投資後の余剰に悩まされ、設備投資はほとんど回復しておらず、この1-2年は地方の農業関連需要も低迷しているという。そこで、モディ政権は小麦等の最低保証価格(minimum support price)を引き上げ、インフレ期待を上げようとする政策をとった。投資資金はインフレ率低下で実質金利が高止まりしていたことから株式などに流れたが、不動産と建設(在庫)が悪化し、結果として雇用を減らしてしまった。マクロの安定と成長との政策的相反が課題ではある。