• 改革優先で成長率が鈍化しても、金融システムは健全化に向かうだろう
  • 安定志向で人民元ショックの可能性は低い
  • 北京の改革と深センの成長の両輪に期待

改革優先で成長率が鈍化しても、金融システムは健全化に向かうだろう

2017年10月の共産党大会後、習近平政権の体制強化が明確になった。その後、金融引き締めバイアスが一段と鮮明になったことから、2018年の中国経済の成長率は減速するという見方が強まっている。この可能性は確かにある。2017年を通して6.8%程度の成長率が期待されているが、2018年の成長率は6.5%程度と、「高い成長率だが加速はしない(やや減速する)」ことを想定しておく必要があろう。さらに、金融引き締めと理財商品に対する規制が、世界の金融市場にも悪影響を与えるのではないか、との懸念も投資家の間に広まっているようだ。しかし、その懸念が実現する可能性は高くないと考えている。理財商品を利用した地方政府の過剰投資からの脱却は、中国経済の体質改善と金融システムの健全化に不可欠な改革であり、長期的に世界経済に良い影響を与えることになると考えるからだ。目先の経済成長率のスローダウンは、改革の進展の兆しと受け取ることもできるのだ。