KAMIYAMA Reports vol. 115

  • 新興国の為替変動には、米国金利上昇よりも各国の政治情勢が重要
  • 米国金利が上昇した時、新興国通貨が下落したとはいえない
  • 新興国と一括りにできない現状を認識することが大事

新興国の為替変動には、米国金利上昇よりも各国の政治情勢が重要

新興国投資において、米国金利上昇とともに投資資金が逃避している、あるいはさらに逃避するのではないかとの懸念が高まっている。しかし、新興国を1つにまとめてしまうと理解しにくい。国による情勢の違いがそれぞれの為替市場に影響しているからだ。アルゼンチンでは、充実しすぎた社会保障などから財政支出が過大となって高インフレ状態となり、財政や経済の持続性に懸念が高まった。IMF(国際通貨基金)による支援的融資枠の設定などで小康状態となろうが、このような動きを逐一米国金利水準で説明する必要はないだろう。ブラジルでは、大規模なストライキで経済活動が一時的に落ち込んだ。トルコは大統領・議会選挙を控えて金利政策を変化(金利引き上げ)させ、マレーシアではマハティール政権が発足して汚職摘発を強化するなど、それぞれの国がさまざまな事情を抱えている。ロシアは経済制裁の対象となったままだ。