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日興エボリューション

2010年2月1日号【Vol.210】最新!
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『ランナーズ・ハイとランナーズ・ロウ』
ファンネックス・アセット・マネジメントからのメッセージ

過去数年といわず、もしかしたら「失われた20年」と言われかねない状況に陥っている日本の現状に対して憂いをもち、「何をしているんだ、頑張れよ!」と思っている人は私だけではないでしょう。個人的な事ですが、私は五黄の寅の生まれで、年末年始にかけて二年参りに行き、ありがたいご祈祷を受けてきましたが、やはり「この日本を何とかしてください」とお願いせずにはいられない気持ちになりました。お正月は家族・親戚の行事も多いので思い起こすことも多いのですが、戦争が終わって戦地から日本に身ひとつで帰ってきた父たちの世代は、それこそ何もないゼロからのスタートだったにもかかわらず、晴れてお天道様が拝める、とそのことだけでも嬉しくてその後の高度成長期をがむしゃらに生き、日本を世界トップレベルの経済成長を成し遂げる国家へと押し上げたのです。今の日本は、その頃と比べると物質的にははるかに恵まれています。ここで頑張れないわけはない、と思うのですが、いまひとつやる気が出ず、「頑張れば何か良いことがあるのか?」という閉塞感に苛まれている状態です。

本メッセージの過去の話題の中で、たびたび登場しているイチロー選手ですが、アメリカで継続的によい成績を上げ続けていられる秘訣は、メンタル面での優位性にあるのではないかと思います。自分で自分をやる気にさせるコツを心得ているのです。一流選手に共通しているのは、集中しながらも周りがはっきりと見える状態になれるところです。「ゾーンに入る」という言葉でも表現されるらしいのですが、早い話が「ランナーズ・ハイ(マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用を言います)」に近い状況をさすようです。肉体的にも精神的にも極限状態にあるにもかかわらず、苦しさがなくなり、どこまでも加速できるような感覚になるのは、医学的にはエンドルフィンなどの分泌によるものらしいですが、要は心と体がハイな状態に自分を持っていく能力があるのでしょう。戦後復興期の日本は全体がランナーズ・ハイな状態であったでしょうし、今は多分中国がその状態なのではないでしょうか? 造語かもしれませんが、個人的な感覚では、日本は今、「ランナーズ・ロウ」状態で、ちょっと走ってみては立ち止まる状態のような気がします。ただし、「このままでは駄目だ、やる気を出さなくちゃ」と感じている人も多いことでしょう。そして、日本は、少しのきっかけがあればがらりと変われる国としての素質を持ち合わせているのです。

評論家の故山本七平氏が30年前に書いた本によると、約100年前の日本は「(当時の)先進国から資金を借りて、技術を導入してモノをつくって輸出し、輸出により得た資金を先進国へ返済していた」と単純に図式化することができました。そうしますと、今の新興国は当時の日本に比べるとはるかに恵まれているはずですが、過去100年を振り返ってみると、日本ほどうまくいった国はないようです。その理由を政治学者のガエターノ・モスカ氏が紐解いていますが、その理由を簡単に言ってしまえば、日本は半革命的に世の中を転換できた国であるから、ということらしいのです。「王様の首をはねて、農民が主導者になる」というような世の中ひっくり返してしまう革命や、多くの血を流すことなく、前任者による小さな改革の積み重ねがあり、その後継者が新しい世の中でもそのまま指導者になっていくことで、大きな振れもなく、すんなりと新しい世の中に変わっていったのが日本なのだそうです。明治維新でも、一気に国単位ではなく、その前に各藩における改革があり、その指導者が横滑りして明治政府を動かしていました。将来の展望を予測し、転換点を乗りきる日本人の特性を、山本七平氏は「日本人の模倣性と独創性」として述べています。はるか昔、中国の文化が韓国経由で日本に伝えられていました。中国が支配的であった時代には、「韓国は中国をそっくりコピーしているが、日本は中国の言うとおりにしない」と批判し、韓国の優位性、日本の劣等性を強調していたそうです。日本は駄目な国なのか、それとも独創的な国なのか?日本における独創的なものとして、仮名、幕府、武士、紋章、葬式、墓などがあり、蘭学と漢学を平気で並べて一緒に学んでしまうところも他にはないらしいのです。特に料理の文化は独創的発展を遂げています。中国文化をそのまま取り入れることはなかったものの、戦後の日本はアメリカ文化を実にうまく取り入れてのし上がったと言えるのではないでしょうか。

このように、本来の日本人が持つ良さを見直し、目標を掲げてフローをつくり、いかにやる気を盛り上げていけるかが復活の原動力だと思うのです。停滞気味の消費関連ビジネスにおいて一人勝ちの感がある日本の衣料品製造小売業の社長が、全米小売業協会(NRF)の国際部門賞を受賞したというニュースがありました。日本の良さが国際的に評価を受けたよい例と言えましょう。こうした例が、日本企業にとっての、今後の変化への原動力となって欲しいものです。新しい方向へ向かう人材が出てくると、急激に元気になって動き出すのが日本人の特性のようですから、後に続く人々が今後意外な分野で活躍し「あれ?」というところで着目されるようになることが、日本を根底から元気にしていける解決策なのではないか、と楽しみにしているところです。

チーフ・インベストメント・オフィサー
西澤 賢


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