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2010年2月24日号最新!
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『企業の余剰資金はどこに向かうのか?』

2010年3月期の第3四半期決算がほぼ出揃いました。世界的な景気の底打ちや各企業のコスト削減効果などにより、製造業を中心に通期業績見通しの上方修正が相次ぐなど、全体的に見て企業収益の回復基調を確認することができました。

売上や利益の改善傾向に加え、私が注目したのは、余剰資金が大幅に増えている企業が多かったという点です。金融危機が最も深刻であった2009年の初めには、大企業でさえ、銀行からの借り入れが出来なくなるのではないかという懸念から、手元の現金を通常よりも多めにする傾向が目立ちました。その後の業績回復局面でも、景気の二番底懸念などから経費や設備投資の抑制を続けた結果、手元の現金がさらに積み上がった状態になっている企業が増えています。一方、金融環境が危機的状況を脱し、ほぼ平時に戻っていることや、景気の二番底懸念も薄らいでいることなどを考えると、来期には企業の余剰資金が何らかの形で使われる可能性が高く、このことが株式市場や国内景気にプラスの影響を与えると見ています。そこで、以下に、余剰資金の使われ方とその効果について、考えをまとめてみました。

(1)設備投資
需要は回復しつつあるものの、金融危機前のレベルにはまだ戻っていません。このため、生産能力を拡張するための投資については、一部の業種を除いて本格化には時間がかかると考えられます。しかし、今期は、必要最低限の修繕さえ先延ばしされるなど、設備投資が極端に抑制されたため、来期には少なくとも修繕や老朽設備の更新といった動きが出始めると想定されます。また、企業が人員削減を進めていることから、少ない人数で生産を増やすための自動化、効率化投資を行なうところも増えることでしょう。このような動きからは、例えば制御機器などの需要拡大が期待されます。
(2)株主還元
今期は、業績の落ち込みから、減配する企業が多く見られました。また、配当と並び、株主還元の手段として近年増加傾向となっていた自社株買いについても、実施額の減少が目立ちました。しかし、来期については業績回復が見込まれることから、増配を行なったり、自社株買い実施額を引き上げる企業が増えると期待されます。こうしたなか、経営陣が株主還元に積極的な考えを持っている企業に注目したいと考えています。
(3)M&A(企業の合併・買収)や設備廃棄などの事業再編
今回の経済・金融危機を経験して、業界構造の再編が不可欠と考える経営者が多くなっています。例えば、石油、セメントなどの業界では、生産能力を削減する動きが広がっていますが、設備廃棄にも資金が必要となるため、余裕が出てきたこの時期に決断する企業が増えてくると考えられます。また、M&Aについては、国内大型企業同士の経営統合が破談になるようなケースもありましたが、海外企業の買収などが活発に行なわれ、業界の競争環境に変化が見られると考えています。こうしたなか、事業再編によって、需給環境の改善が期待できる業種に注目しています。なお、世界のM&Aは、2009年に2年連続で大幅な減少となりましたが、世界景気の回復期待が高まった同年後半以降、底打ちの兆しが見られます。今後は、技術力やブランド力などを狙い、日本企業に対するM&Aが活発になる可能性も考えられます。
(4)人件費の修整
今期は、経済・金融危機対応で給与や賞与を大幅に削減する企業が多くありましたが、来期は業績連動の賞与などを中心に、ある程度の報酬引き上げが実施されると思われます。これは、短期的な業績にはややマイナスの要素ですが、中期的に見ると従業員のモチベーションの維持・向上を通じたプラスの効果も考えられます。また、国内景気に対しても、一定のプラス効果を期待できます。政府の子供手当ての支給と、賞与の下げ止まりが重なり、消費関連企業の業績が好転する可能性があります。
(5)借入金の返済
業績の落ち込みで悪化した財務体質の改善を進める動きも想定されます。格付けの改善などによって、借り入れのコストが削減され、業績の押し上げにつながる可能性があります。

各国での財政・金融政策の効果に加え、リーマン・ショック以降に製造業を中心として、切り詰めた在庫を適正水準に戻す動き、つまり、在庫復元に伴なう生産拡大が、世界景気の底打ちや株価反発の主なけん引役となりました。さらに今後は、こうした流れを受けての景況感の改善などにより、自律的な景気回復へつながっていくことが期待されます。その際、以上のように、企業が“いざという時”に備えて積み上げてきた余剰資金が前向きに使われることとなれば、企業業績や景気の回復に厚みや広がりをもたらすなど、様々な形で好影響を及ぼすと見られます。その活かし方の巧拙に応じて、株価の動きが大きく異なると見込まれることから、企業への取材などを通じて、「企業のお金の使い方」にも重点を置いた調査を行ない、今後の有望銘柄の選定につなげたいと考えています。


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