国内株式市場は、2月に入って急落する展開となりました。年初から大きく値上がりして始まった日経平均株価は、1月下旬には24,000円を超えました。しかしながら、その後は下落基調に転じ、2月中旬には一時21,000円を割り込むところまで値下がりするなど、短期間に大きな変動が起こりました。下落のきっかけは、米国の長期金利が大きく上昇したことを受けて、米国株式が急落したことでした。株式市場の変動率が急激に高まったことを受けて、投資家がリスク資産を圧縮する動きを強めたことで、世界の株式市場に動揺が拡がり、日本株式も大きな値下がりとなりました。足元では、下げ止まりの兆しも出始めていますが、依然として株価の変動が大きい状況は続いています。

 当面は、米国の長期金利や、為替市場の動向を睨みながら、不安定な株価動向が続く可能性が高いと考えていますが、中長期的に見ると、2013年から始まった日本株式の上昇基調は今後も維持されると考えています。理由は、以下の3点です。

①グローバルな景気拡大基調の継続

 今回の世界的な株価下落は、米国において、景気拡大を背景とした長期金利の上昇を受けて、株式の相対的な割高感が意識されたことによるもので、景気後退によって企業のファンダメンタルズが悪化しているわけではありません。年初までの株価上昇ペースがやや速すぎたために、金利上昇をきっかけとしたスピード調整が起こっている局面であると考えられます。

②日本の企業業績は好調を持続

 日本では、2017年10-12月期の決算が出そろったところですが、全体で見ると通期の業績予想に対してやや上振れのペースで進捗しており、業績予想を上方修正する企業も多く見られました。輸出の好調に加え、国内景気も良好な雇用環境などを受けて拡大傾向にあることから、来期についても増益基調が続くとみられます。

③日本企業の経営が構造的に変化

 ここ数年の日本企業の経営は、これまでにない構造的な変化の局面に入っていることを実感しています。トップマネジメントの意識が大きく変わり、産業構造の変化に対応して、経営資源の集中を進める企業が増えています。収益体質が強化され、財務内容の改善を背景に、株主還元を積極化していることも、株価の下支え要因になると考えています。

 このように、中長期的には企業業績の成長ペースに沿った株価上昇が期待できると見込んでいます。ただし、短期的なリスク要因として、為替の動向には注意が必要だとみています。日本企業は、収益体質が強化されていることに加え、生産の現地化を進めたことなどで、円高に対する抵抗力が格段に上がっています。ただし、対米ドルで105円を超える円高が定着してしまうと、来年度については増益が難しくなる可能性があります。基本的には、日米の金融政策の違いや、金利差を考慮すると、105円から115円程度のレンジで推移する可能性が高いと考えていますが、注意は必要だと考えています。

 このような環境認識を踏まえて、ジパングでは、競争力が高い企業や、事業構造の変革が期待できる企業を選別した運用を継続する方針です。特に、昨年までと比較すると、今年は金利、為替など外部環境の変化が大きくなる可能性もあることから、独自の成長要因を持ち、安定的に業績を拡大させることが出来る企業を中心としたポートフォリオを構築する方針です。具体的に注目しているカテゴリーは、①人手不足に対応するための生産性向上をサポートする、ITサービス、人材サービス、アウトソーシング、ロボット、FA(ファクトリー・オートメーション)などの関連企業、②自動車の電動化、軽量化、自動化などの構造的な変化に対応できる自動車部品、電子材料などの関連企業、③成熟した国内市場でシェアの拡大で成長する小売専門店、④海外でシェアを拡大している医療機器関連企業、などです。