日興ジャパンオープン ジパング

ファンドマネージャーから皆様へのメッセージ

2011年12月21日号
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『実力値に回帰する日本』

2011年も残すところあとわずかとなりました。今年の日本の株式市場は、内外で悪材料が続き、大変に厳しい年でした。3月に発生した東日本大震災と原子力発電所の事故は、未曾有の被害をもたらしましたが、それに伴なうサプライチェーン(部品供給網)の寸断と電力不足は、製造業の生産活動に大きな影響を及ぼしました。その後、生産現場の必死の努力で、想定以上のスピードで生産が回復を見せていたところに、今度はタイで大規模な洪水が起こり、再び自動車や電機の生産に大きな影響が出る事態となりました。金融市場では、ギリシャに端を発した欧州債務問題が拡がりをみせ、南欧諸国の国債が大きく売り込まれるなど、投資家のリスク回避的な動きが強まりました。その中で、資金の逃避先として日本円が選好され、円高が加速しました。このように、国内要因、外部環境ともに、企業収益に強い逆風が続き、株式市場も下落傾向の一年となりました。

それでは、2012年はどのような年になるでしょうか?私は、来年を日本が「実力値」に戻る年と位置づけています。残念ながら、来年の世界経済に高い成長を期待することはできず、外部環境の厳しさはあまり大きく変わらないと考えています。特に、現在最大の懸念材料である欧州債務問題については、財政収支や経常収支の格差が大きい国々が共通の通貨(ユーロ)を使っているという、構造的な問題が背景にあるため、一朝一夕に解決するものではありません。欧州各国は、当面財政緊縮的な動きを続ける必要があるため、景気回復には相当な時間を要すると考えています。ただし、一方で各国中央銀行が協調して米ドルの供給を決めるなど、安全網の整備が進んでいることなどを踏まえると、金融機関の破綻から信用収縮が加速し、世界的な景気後退につながった、リーマン・ショック時のような事態は回避できる可能性が高いと考えています。また、米国景気が底堅く推移していることや、中国を含めた新興国が金融緩和姿勢に転じていることも、世界経済を下支えするものと考えています。

こうした中、この先、日本株については、比較的堅調な推移が期待できるのではないかと考えています。その理由は、(1)日本経済と企業収益は、「実力値」に戻るだけでも、先進国の中で相対的に高い伸びが期待できること、(2)株価の割安感が極めて強いと判断されること、の2点です。今年の日本の企業収益は、震災や洪水、円高の進行など、あまりにも特殊要因が多く、「実力値」からは程遠い、低水準にとどまっていると考えています。震災の影響は既に一巡しており、タイの洪水の影響も徐々に解消し始めています。為替については、大きく円安に戻ることは期待できませんが、欧州債務問題に対しては、安全網が整備され始めたことなどで、円高がさらに大きく進むリスクも後退してきているように思います。従って、2012年については、自動車、電機などを中心に、通常の生産レベルに戻り、実力値の業績を出すだけで、大幅な増益が期待できます。また、内需については、遅れていた復興関連の投資が動き始めることで、素材や建設関連などを中心に、業績の伸びが期待できると考えています。マクロ的に見ても、日本のGDP成長率は先進国の中で、相対的に高くなることが見込まれますので、外国人投資家の注目も徐々に高まってくる可能性があります。

株価の割安性については、PBR(株価純資産倍率)と配当利回りに注目しています。現在、TOPIX(東証株価指数)のPBRは、加重平均で0.9倍台となっており、株価と企業の解散価値とが同じことを示すと言われている1倍を下回っています。特に、大手の自動車メーカーや家電メーカーなど日本を代表する大企業でも、PBRが1倍を大きく下回る水準まで売り込まれているケースが多くなっており、実態と株価の乖離が大きくなっています。またTOPIXの配当利回りは、2.5%程度まで上昇しており、10年国債の利回り1%程度を大きく上回っています。前述のように、2012年に企業業績の増益が確認される中で、株価は反発に向かうと考えられます。

TOPIXと同PBRの推移(1998年1月末~2011年11月末)

TOPIXと配当利回り、国債利回りの推移(1998年1月末~2011年11月末)

信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成

グラフ、データは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

このように、大変厳しかった2011年と比較して、2012年は日本企業の実力が再評価されることで、底固い株価推移が期待できると考えていますが、外部環境が大きく好転するわけではありませんので、競争力や収益力の違いで、企業間の業績格差は大きくなる可能性が高く、銘柄選別は非常に重要になると考えています。リーマン・ショック以降、様々な危機を克服し、さらに競争力を高めている企業や、震災などの影響がなくなることで業績が大きく改善する企業、復興関連の需要が期待できる企業などを選別していきたいと考えています。

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