MSCI-KOKUSAI(エムエスシーアイ・コクサイ)指数とMSCIエマージング・マーケット指数に連動する日本初のグローバル株式指数のETF

今回、日興アセットマネジメントが設定・上場するETFは、日本を除く先進22カ国から構成されるグローバル株式の代表指数である「MSCI- KOKUSAI(エムエスシーアイ・コクサイ)指数」に連動するETFと、中国・インド・ブラジルといった新興22カ国から構成される「MSCIエマージ ング・マーケット指数」に連動するETFです。この2本のETFを活用することで、投資対象国や個別銘柄の管理をすることなく手軽に国際分散投資が可能になります。両指数に連動する非上場の投資信託では何本も商品が提供されていますが、ETFとしては日本初の商品になります。

資産運用のツールとしてのETFを開発してきました。
それは日本初のETFを開発することでもありました。

当社のETF開発の主眼には、市場で売買されるツールとしてのETFであること以上に資産運用のツールとして使えるETFの開発があります。今回の先進国及び新興国のグローバル株式のETF開発で、日本人投資家の資産運用のための基本的なETFラインナップができるのではないかと思っています。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)のETFといった代表的な日本株ETFの開発以降の弊社のETF開発は、以下にあるように全て日本初を盛り込んだものでした。

  • 2008年3月 上場大型、上場中型、上場小型
    日本初の規模別ETF
  • 2008年4月 上場パンダ
    中国国内市場以外で外国人の投資できるETFとしては世界初・唯一*1 の、純粋に中国A株を組み込んだETF
  • 2008年10月 上場Jリート
    日本初の隔月分配型ETF
  • 2009年4月 上場グリーンチップ35
    日本初の環境関連日本株ETF
  • 2009年9月 上場外債
    日本初のグローバル外債・毎月分配型ETF

(*1: コラム掲載時)

『上場MSCIコクサイ株』と『上場MSCIエマージング株』 の開発 (便利で、安心して資産運用のツールとして使っていただけるETFの開発へ)

昨今、多くの外国籍ETFが日本に提供されていますが、それらのETFは日本の金融商品取引所に上場していないことから特定の証券会社でしか売買ができない ことがあります。また、外貨建てであることから為替取引手数料や売買手数料が割高であったり、確定申告の必要があるなど税務処理が面倒なことがありまし た。そもそも外国の市場、投資家向けに組成されたものですから、日本の投資家が投資したい国が投資対象から外れるなど日本の投資家に使いにくい場合もあり ました。日本の投資家を向いた国内籍・日本の取引所に上場しているETFにはこのような不都合なことはありません。

そのため、日本の投資家のための国内籍ETFを早急に開発する必要性を感じていました。中国A株のETF(上場パンダ:2008年4月設定・上場)の開発の後、資産運用のツールとして不可欠な今回の先進国及び新興国のグローバル株式のETF開発に取り掛かりました。しかしながら世 界の証券決済・税制の異なる国々の株式を対象とすると、時差もあり、仕組み作りが一筋縄ではいきません。仕組債や外国籍投信、外国籍ETF、スワップを活 用した仕組み等、検討に検討を重ねました。ある仕組みで設定しようとシステム開発も終えて設定準備に入っていたのですが、2008年9月の金融危機でこの 仕組みに内在していたリスクが大きいということが明らかになって、一旦開発を断念するということもありました。2009年に入って、新ETF制度(金銭信 託型ETF)が導入されることになって、商品組成上の決済に係るハードルが低くなりましたが、税制の問題が残りました。ETFは非上場の投信信託と違っ て、市場取引を通じて誰(非居住者)でも保有できるところから、この取扱いが難しいところでした。今回の先進国及び新興国のグローバル株式のETFだけで なく、グローバル外債ETF(上場外債)も同じ問題を持っているのですが、様々な運用手法の活用と仕組みを工夫することによって問題解決にあたりました。

また、安心して資産運用のツールとして使っていただけるETFとするために、ファンドの投資状況が把握しやすい仕組みにすることに加え、長期保有に耐えられ るコスト水準に抑えられる仕組みとしています。両ETF共に年間の信託報酬料率が0.2625%(税抜き0.25%)程度となっています。これは世界の競 合商品にも負けない水準です。

『上場MSCIコクサイ株』と『上場MSCIエマージング株』の開発土壌

運用会社の商品開発というと、運用にスポットがあたってしまうのですが、このような新型の商品開発においては、ETFの根幹の約款や有価証券届出書といった ドキュメンテーション、運用を日々管理するオペレーション、運用開示のディスクロージャー、仕組み全体のリスクを見渡すリスクマネジメントや法務部門の知 見、経営管理部門の新商品開発に対する理解が無ければ実現しないものです。

今回の先進国及び新興国のグローバル株式のETFの開発に関していえば、当社の運用チームが運用できるということだけでなく、マーケットメイクをする証券会 社がヘッジ等をしやすいETFにしなければならないことから、運用対象の調査・組み合わせの再検討を時間をかけて行ないました。また、コスト負担の少ない ファンドの仕組みでその運用を実現することや日々のオペレーションに過度な負荷がかからないようにすること。そして、その仕組みを規定する約款文言の書き 込み、投資家への開示書類の作成。全体の法務・リスク管理的な観点からのチェックと再考。何回も商品開発の失敗にもかかわらず開発を継続させてくれた経営 の理解といったことです。以上のように今回設定する『上場MSCIコクサイ株』と『上場MSCIエマージング株』は当社の総合力の賜物だと自負していま す。

これからの日興アセットマネジメントのETF開発

現在も日本を除く世界中の市場でETFが急成長を続けています。そのETFの状況をよく見ると、ETFは、証券市場の取引インフラストラクチャーとなって市 場取引の活性化に貢献しています。米国市場では取引高の3割*2 をETFが占めている程です。

(*2: 「Vision Focus」 2009年12月, State Street)

設立後50年を迎えた日興アセットマネジメントは、アジアにおける日本に根ざした運用会社として活動していくことを社是としています。ETFのプロバイダーとしても、日本の金融商品取引所になくてはならない金融商品と成り得るETF、それは日本の投資家のためのETFを組成して、投資家の皆様のお役に立てる 運用会社となることを目指していきたいと考えています。

今後さまざまなテーマでETFコラムを掲載していく予定です。引き続き、日興アセットマネジメントのETF 『上場インデックスファンド』シリーズをご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。