ETFコラムNo.41 日銀のETF買付から学ぶ株式市場とETF投資(1)  ~市場の歪みの検証からわかったこと

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日銀のETF買付から学ぶ株式市場と

ETF投資

2016年11月17日

日銀ETF買付の記事について

昨今、いくつかの経済系メディアは日本銀行のETF買付について記事にしていますが、その多くはネガティブな記述が多いように思われます。その典型的な記述が多額の買付で市場の価格形成に歪みが生じているのではないかといったものです。市場価格が歪んでいるという証拠がETFを経由した株式の実質保有比率が高いという指摘なのですが、本当にその結果、株価が歪んでいるかを明らかにしたものを目にしたことがありませんでした。
そこで、実際はどうなのか確認をしてみたいと思います。

日銀ETF買付の問題点とは、①市場の歪みの検証

日本銀行のETF買付制度は2010年10月に公表され、同年12月15日から買付がスタートしています。制度の変遷は以下の表をご覧いただきたいのですが、2016年9月末までに、累計で10兆287億円を買付けています。

日次 ETF買付枠 期日 付記
2010年10月28日 残高上限4.500億円 2011年12月末 TOPIXと日経225ETF購入対象
2011年3月14日 残高上限9.000億円 2012年6月末  
2011年8月4日 残高上限1兆4.000億円 2012年12月末   
2012年4月27日 残高上限1兆6.000億円 2012年12月末  
2013年1月22日 残高上限2兆1.000億円 2013年12月末  
2013年4月4日 年1兆円増   異次元金融緩和
2014年10月31日 年3兆円増    
2014年11月19日     JPX日経400ETF購入対策対象に追加
2016年3月15日 年3兆3,000億円増   設備・人材投資ETF追加(年3,000億円)
2016年7月29日 年6兆円増    
2016年9月21日     3兆円→日経225、TOPIX、JPX日経400ETF
時価総額比例
2.7兆円→TOPIX ETF時価総額比例
※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。

実際、10兆円というと、ものすごい金額であることは言うまでもありません。このETFの買付はどのように買付けられたのでしょうか。
日本銀行はそのホームページ上で、日々、買付の金額を公表しています。そちらを基に、日本銀行がETF買付を開始した2010年12月15日以降、今年の9月末まで整理したものが以下のグラフになります。


日経平均の騰落率と日銀のETF買付日数
2010年12月15日~2016年9月30日

※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。
※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

以上を見ると、一目瞭然ですが、日本銀行のETF買付は、概ね市場の下落日に行われています。ここから日本銀行が買い支えをしていると言われる所以ですが、本当にそうなのでしょうか。
そこで次のグラフをご覧ください。こちらは日本銀行がETFを買付け開始した以降の累積主体別売買動向になります。こちらは取引所(立会所及び立会外(TostNET)を通した売買で、純粋な店頭売買(OTC)の部分は含まれません。純粋な店頭売買の部分は、基本、特定の値段で売り買い同額のクロス取引になり、価格形成には取引所取引を見ればよいかと思います。

※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。
※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

日本銀行が買付けているETFは、主体としては信託銀行になります。その信託銀行の買付が売り越しから買い越しに転換するのは、黒田総裁就任後の異次元金融緩和開始後で、累計で買い越しに転換するのは2015年12月以降になります。しかしながら 、当該グラフの期間の主要プレイヤーは海外投資家(買手)と個人(売手)でした。
それを踏まえて、市場のバリュエーションの推移を見てみましょう。


日銀ETF買付残高とTOPIX PBRの推移
(2010年4月1日~2016年9月30日)

※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。
※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

こちらのグラフは日本銀行がETFを買付ける以前の2010年4月1日以降の東証株価指数(TOPIX)のPBRの推移と日本銀行の累積ETF買付残高を見たものです。ご存知のようにPBRは株式の純資産価値に対して株価がどの程度になっているかを表した指標です。日本銀行の買付残高の増加に連動しているというよりは、前出のグラフと比較して、海外投資家の買付残高の推移に連動しているのが見て取れます。
一方、PBRが1を割れているのは、株式を買い集めて会社を解散すれば収益があがるということですから、生産活動をして付加価値・収益を上げる株式の価格としては異常な状況なのですが、2016年9月末の東証株価指数(TOPIX)のPBRが1.2弱という水準では、そのようなこともなく違和感のある水準ではありません。市場全体としては、日本銀行のETF買付によって価格が歪んでいるとは言えないのではないでしょうか。

ETFコラム No.42に続く
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