ファンドマネージャーから皆様へのメッセージ

2008年10月7日号最新!
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『"ジパング"設定来の10 年を振り返って』

 おかげさまをもちまして、ジパングは今年8月20日に第10期の決算を迎えました。大きな節目の今回は、第10期だけでなく設定来10年についての振り返りと、足元の株式市場の状況や今後の運用方針についてお伝えしたいと思います。

 <第10期の振り返り>

 第10期は、世界の株式市場にとってだけでなく、ジパングにとっても厳しいものとなりました。その主な背景は、第10期が始まるおよそ1ヵ月前の昨年7月頃から強まり始めた、米国のサブプライム(信用力の低い借り手向け)ローン問題に端を発する世界的な金融・資本市場の動揺です。今春、資金繰りに行き詰った米大手証券会社を米銀大手が救済買収するに至ると、悪材料の織り込みが進み、市場の動揺もピークをつけた感がありました。実際に、世界の株式市場も5月中下旬頃まで反発を見せました。しかし、米国の住宅市場の調整という根本的な問題が解決に向かうどころか、その後も悪化し続け、欧米の金融機関を中心に巨額の損失計上が続くとの懸念が再度強まると、市場の動揺や信用収縮が一段と深刻化するに至りました。

 また、市場の動揺や信用収縮は実体経済にも悪影響を及ぼし、米国にとどまらず欧州などにも景気減速懸念が拡がり始めました。加えて、国際商品市況の高騰によって世界的にインフレ懸念が高まると、高成長を続けてきた新興国経済の行方にまで懸念が生じました。

 このように、サブプライムローン問題に端を発し、さらには、世界景気の不透明感の高まりによって増幅された世界的な株式市場の軟調は、日本の株式市場にも大きな影響を及ぼしました。日本の金融機関は、欧米の金融機関に比べるとサブプライムローン問題への関与はかなり低いのですが、国内景気の減速感が強まったことなどを背景に、外国人投資家の日本株売りが加速すると、日本の株式市場も大幅な下げを余儀なくされました。

 ジパングでは、将来に向けた積極的な投資によって企業価値を高めている企業や、株主還元を積極化している企業のほか、第10期の初めの段階では、新興国での事業拡大が期待できる企業に注目していました。しかし、期中に世界的な景気減速見通しが強まったことに対応し、従来、組入れ比率を高くしていた機械や、非鉄金属などの業種の比率を大きく引き下げる一方で、景気減速の影響を相対的に受けにくい企業の選別に重点を置くなどの運用を行ないました。こうした軌道修正にもかかわらず、第10期の運用実績は▲20.8%と、TOPIX(東証株価指数)の▲19.0%を1.8ポイント下回る不本意な結果となりました。この主は背景としては、株価の下落が想定を上回るペースであったことや、食品、電力など、景気の影響を特に受けにくいとされる業種の組み入れが比較的少なかったこと、さらに、組み入れが多かった業種の中で、鉄鋼の成果が振るわなかったことなどが挙げられます。

 <設定来の運用実績について>

 設定来10年間の運用実績は、分配金(税引前)再投資ベースで▲5.9%と、同期間に+10.4%となったTOPIXを16.3ポイント下回っています。この厳しい結果を真摯に受け止め、皆様のご期待にお応えできるよう、これまで以上に懸命に今後の運用に取り組む所存です。この10年を前半5年と後半5年とに分けると、前半の実績はジパングの▲27.7%に対し、TOPIX▲10.4%と、ジパングが17.3ポイント下回りましたが、後半はジパング+30.1%に対し、TOPIXは+23.2%と、逆にジパングが6.9ポイント上回っています(下図ご参照)。

 終わったばかりの第10期こそ、TOPIXを下回る実績となりましたが、その第10期を含めた後半5年のジパングの運用成果の改善は偶然によるものではなく、チーム運用体制から現在の専任運用体制への移行など、運用向上に向けた取り組みの成果であると考えています。今後も、運用成果を改善させるべく、努力して参ります。

ジパング

※ 基準価額は、信託報酬(年率1.386%~1.806%(税抜1.32%~1.72%))控除後の1万口当たりの値です。
  当ファンドは、運用実績に応じて信託報酬率が変動する「実績報酬制」を採用しております。

※ 基準価額の推移は、分配金(税引前)を再投資したとして計算した理論上のものである点にご留意ください。

※ TOPIXに関する著作権等の知的財産権その他一切の権利は、東京証券取引所に帰属します。

※ 上記グラフ、データは過去の実績であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

 <足元の株式市場と今後の運用方針について>

 既に第11期が始まって1ヵ月半程度がたちましたが、この間に、米国で大手証券会社や大手貯蓄金融機関が破綻に至り、大手保険会社が政府管理下に置かれただけでなく、欧州でも、各国政府が金融機関の救済に相次いで乗り出さざるを得なくなるなど、金融不安が一段と強まり、世界の株式市場の下げが厳しさを増しています。

 こうした中、当面は不安定な株価動向が続く可能性もあります。しかし、中期的に見れば、①米国で紆余曲折の末に成立した金融安定化法など、各国政府による危機対策の効果が徐々に出始めるとみられること、②拡大ペースは鈍化しているものの、新興国経済の成長を背景とした世界経済の拡大基調は持続していること、③業績や資産価値と比較した株価指標が歴史的に割安な水準となっていること、などから、現在の株価は底値圏にあると考えています。特に日本株については、企業の収益体質が強固になり、株主への還元を積極化しているなど、構造的な変化が見られることや、欧米と比較して今回の金融市場の混乱の影響が相対的に少ないことなどから、従来から指摘してきた“2003年を底とした中長期の上昇基調”を徐々に回復すると考えています。それに先立つ現在は、ヘッジファンドの解約売りなどの需給悪化によって、ファンダメンタルズと比較して売られ過ぎと見られる銘柄が増えている局面にあると考えられることから、今後の市況反発時に備えたポートフォリオの構築を行なっています。

 今後の具体的な運用方針としては、個別企業の徹底した調査に基づいて、高い競争力によって業績の拡大が見込まれる企業を選別する基本的な姿勢を維持しながら、株価の割安性も重視したポートフォリオを構築していきます。景気変動の影響を受けにくい分野で成長できる企業や、業界内でのシェア拡大などによって業績を伸ばせる企業と、株主還元に積極的な企業に注目しています。現在有望と考えている業種は、①資産価値や配当利回りの観点から見ても割安感が強まった自動車関連、②堅調な業績推移が見込まれる小売関連、③独自の要因で業績拡大が見込まれるゲーム関連、などです。

 10年前に運用をスタートしたジパングにとって、足元で続く厳しい環境は、日本の“失われた10年”の最終局面の頃に次ぐ2つ目のものと受け止めています。こうした認識の下、過去の教訓をも活かし、日本株市場の新たな萌芽を捉えていく所存です。

ファンドマネージャー 小林 敏紀

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