「何が分からないか、分からない!」方のためのFAQ
初心者3分シリーズ:投信イチから編

年初一括がいいの?積立がいいの?

公開日2025年1月30日

今福 啓之

日興アセットマネジメント

当「20年後ラボ」は「これから投資信託を始めよう」または「始めたけど自信ないんだよね」という人に向けて、投信メーカーならではのちゃんとした内容を、でも社員個人の考えを自由にカジュアルにお届けしたい、というサイトです。

・・・なのですが、どうしても皆、長くなりがち。そこで通常のコラムとは別に、3分で読めるくらいのショートシリーズを立ち上げました。さて短く書けますかどうか。

新NISAの2年目がスタートしました。ネットの声を観察していると、「年初に一括で買うのがいい?それともやっぱり積立がいい?」といった質問をよく見ます。

質問主はきっと預貯金に当面使わない、まとまったお金がある人なのでしょう。そして、昨年始めたNISAの好調さを実感して、「このお金も投資にまわそうかな…」と思案しているのでしょう。

NISAのつみたて投資枠は既に月の上限10万円で設定済みであり、それにプラスして一括でも入れられる「成長投資枠(毎年240万円まで可能)」の利用を考えている、といったところでしょうか。

増額を考えてくれているのは、運用会社としては嬉しい話ではありますが、いくつかお伝えしたいポイントがあります。

まず投信積立について「投資手法としての優劣」を語るのは、そもそも変だという話。

私も投信積立を始めた時にそうでしたが、まとまったお金がないからこそ “仕方なく”選ぶのが積立です。投資手法の優劣で選んだわけではありません。毎月貯金するのと同じように、使わない分をコツコツ積んでいく対象が、預貯金でなく投信だというだけです。

もちろん、いわゆる「ドルコスト効果」の話はありますが、それは積立が持つ、(多くの場合、「いいこと」に繋がる)副次効果でしかありません。

言うまでもないことですが、明日から上がっていく一方の株式市場なら、一日でも早く、1円でも多く買う方がトクに決まっていますし、下落トレンドなら、それは逆に働きます。要は今後の値動き次第(だから分からない)という、単純な話なのです。

ネットには、過去データを何年分もシミュレートして「年初一括が優勢だった」ともっともらしく言っている情報が多くありますし、積立日は月初がいいのか月末がいいのかとか、あるいは毎日積立がいいのかとか、何だか難しい議論が溢れています。

まず、そうした「手法」の議論から距離を置きましょう。過去データの結論は、未来に向けてリスクを取る私達に何の責任も取ってくれません。

他にも「手法」の議論は盛んです。「NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は同じインデックスファンドが良い」、「成長投資枠は米国以外の国の株式に分散すべし」などなど。――いずれも株式100%のリスクテイクを当然とした上での、「手法」の話です。

それよりも前に、そもそもの「そのお金の性格」と「自分の性格」をよくよく考えましょう。

「年初一括がいいのか積立がいいのか」の悩みは、つみたて投資枠で既に始めているS&P500やオール・カントリーなどを前提にした悩みだと思いますが、そもそもその大きなお金で株式100%のリスク取って大丈夫ですか?という話です。

あなたがそのまとまった大きなお金を、預貯金で作ってこられたのは、なぜなのでしょう。いくら利率が低くても元本保証の預貯金に安心感をおぼえ、ここまでずっと続けてきたのではないでしょうか。

そして今そこにある大きなお金のかたまりは、減らずにそこに存在していることが心理的にも、今後の生活設計にとっても大事な意味を持つものだったりしないでしょうか。

私は常々、積立も一括も、せっかく始めるなら「少額から」でなく「本気の金額で」と言っているのですが、長年かけて作ったそのまとまったお金については、どの程度のリスクを負わせるべきかについてこそを、とことん本気で考えるべきだと思っています。

今またネットを見たら、「学資保険を解約してNISAに突っ込もうと思います!S&P500とオール・カントリーとNASDAQ、どれですかね?」という質問を見つけました。あ、「学生は奨学金を借りて、NISAでインデックスファンドを買えるから羨ましい」というのも!

かなり考えさせられる事態です。冷静に、本気で、自分の頭でとことん考えることといたしましょう。

今福 啓之

日興アセットマネジメント



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