議決権行使の考え方
- ガイドライン(全文)
- 国内株式議決権行使基準
- 議決権行使結果
議決権等行使指図ガイドライン
(全文)
日興アセットマネジメント(以下、「当社」)は、受託者責任を果たすため、独立した立場から、もっぱら当社の顧客および受益者の利益のみを目的として、議決権を行使します。当社は、「日興アセットマネジメントグループ議決権等行使ポリシー」に沿って、「議決権等行使指図ガイドライン」を定め、これを順守した議決権行使判断を行います。
総則
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(目的)
- 第1条
- この議決権等行使指図ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)は、当社の議決権等行使指図に係る意思決定手順および判断基準を定め、組織的かつ整合的な議決権等行使を目指すとともに、もって受託者責任の忠実な履行に資することを目的とする。
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(定義)
- 第2条
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- このガイドラインにおいて「議決権等」とは議決権を含む会社法上の株主権をいう。
- このガイドラインにおいて「受益者」とは投資信託運用における各ファンドの受益者をいう。
- このガイドラインにおいて「顧客」とは投資顧問契約における各顧客をいう。
- このガイドラインにおいて「受益者(顧客)の利益」とは、株主価値の増加またはその価値の毀損防止をいう。
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(基本姿勢)
- 第3条
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- 個別銘柄における議決権等の行使指図判断にあたっては、このガイドラインにより各議案を精査し、受益者もしくは顧客の利益に反すると認められる場合には、「反対」の意思表示を行なうものとする。
- 受益者もしくは顧客以外の第三者の利益を図る目的で議決権等行使の指図を行なってはならない。
- 議決権等行使にあたっては、当該国の実情に応じて指図を行なうものとする。また、必要に応じて外部の専門家の助言を利用するものとする。
- 利益相反の可能性が生じる場合には、独立した第三者の助言を利用するものとする。
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(判断権者等)
- 第4条
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- 議決権等の行使指図判断に関する基本的な事項は、スチュワードシップ&議決権行使委員会で定める。
- 個別銘柄に関する議決権等行使指図は、運用部で判断する。
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(指図の種類)
- 第5条
- 議決権等行使指図は、各議案に対し、「賛成」または「反対」のいずれかとし、「白紙委任」を行なってはならない。ただし、該当国市場における慣行や、投票制度の取り決めに従い、「反対」の意思表示を代替する、もしくは「賛成」ではない旨を明示するために「棄権」とする場合がある。
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(顧客からの要請)
- 第6条
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- 顧客より、個別銘柄に関する指図結果および判断根拠の開示要請があった場合は、当該顧客資産の運用対象となっている銘柄に限り、開示するものとする。
- 顧客から議決権等行使指図の方針が提示された場合には、このガイドラインを顧客に提示し、顧客と協議を行うものとする。
- 顧客に議決権等行使の指図権が一部留保され、顧客から当社に対して明らかに非合理的と考えられる議決権等行使の指図が提示された場合においては、顧客に対して意見を述べるよう努めなければならない。
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(外部委託ファンドの取扱い)
- 第7条
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- 運用指図権の行使を外部に委託している場合においても、原則として当社が議決権等行使の指図を行なうものとする。
- 前項の規定にかかわらず外部委託先が議決権等の行使を希望する場合には,外部委託先と協議の上、前項と異なる取り扱いをすることがある。
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(不統一行使)
- 第8条
- 原則として議決権の不統一行使指図は行なわない。ただし、第6条3項の場合および第7条第2項の場合は、この限りではない。
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(スクリーニング)
- 第9条
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- 個別銘柄に関する議決権等行使指図判断においては、スクリーニング基準を設け、該当する銘柄の議案については精査する。
- スクリーニング基準は、スチュワードシップ&議決権行使委員会が決定する。具体的には以下の項目等を採用する。
- 株主資本利益率(ROE)、総資本利益率(ROA)の水準または変化
- 株主還元の度合
- 不祥事発生の有無
- 会計監査人の異例意見の有無
- 被公開買付の有無
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(改廃)
- 第10条
- このガイドラインの改廃は、スチュワードシップ&議決権行使委員会の決議による。
各論
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(株主還元)
- 第11条
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- 配当など株主還元については、以下の各号に定める事項を勘案し、著しく疑義がある場合、議案に反対する。
- 株主配当など総還元性向が、上場企業の平均水準等と比べ、継続的に低い場合
- 株主配当など総還元性向が、上場企業の平均水準等と比べ著しく高いか、最終赤字を計上している状態で、財務の健全性に悪影響を与えうる場合
- 手元流動性および株主資本比率の水準と将来の事業計画等を照らした妥当性
- 役員報酬と、配当など株主還元額との整合性
- 計算書類や監査手続きに懸念がある場合
- 剰余金の処分を取締役会による決議とする議案については、取締役会の構成が経営執行からの独立性が高いと判断される場合、賛成する。
- 配当など株主還元については、以下の各号に定める事項を勘案し、著しく疑義がある場合、議案に反対する。
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(取締役および社外取締役の選任)
- 第12条
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- 取締役会は、中長期的な株主価値向上に向けた意思決定を行い、かつ執行に対する監督機能を発揮することが期待され、高い実効性を以てその役割を果たすことが重要である。そのために取締役会は、能力・資質や多様性、独立した社外取締役の割合などに十分配慮された構成とし、かつ迅速な経営判断を行える規模であることが望ましいと考える。具体的には以下の事項を注視し、賛否を判断する。
- 取締役選任議案については、以下の各号に定める事項を勘案し、疑義がある場合、議案に反対する。
- 個人的な資質など取締役候補として問題があると判断される場合
- 取締役会の構成上、適正な能力の発揮が期待できないと判断される場合
- 取締役として不適切な行動をとったと判断される場合
- 合理的な理由なく取締役会への出席率が低いと判断される場合
- 経営に重大な責めがある場合、関与が認められる現取締役の再任議案には反対する。特に下記に関しては注視する。
- 重要な事項が株主の意思確認なしに決定・導入された場合
- 経営資源が効率的に運用されていないと考える場合
- 反社会的行為またはその他株主価値を損なう行為があった場合、当該時期の取締役を再任する議案には、原則として反対する。
- 社外取締役を選任する議案には、独立性を吟味して適性を判断した上で、原則として賛成する。独立性の定義は、会社と候補者との間に社外取締役として選任される以外に関係がないことを原則とする。
- 累積投票により取締役を選任する提案には、原則として賛成する。
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(監査役および社外監査役の選任)
- 第13条
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- 前条の規定は、監査役選任案(監査役補欠選任案を含む)に準用する。ただし、当該監査役が独立した立場から取締役の監視・監督を行うことが難しいなど、職務に適性を欠くと判断される場合は、原則として反対する。
- 社外監査役の選任については原則として賛成する。ただし、明らかに独立性に欠けると判断される場合は反対する。
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(会計監査人の選任)
- 第14条
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- 会計監査人の選任議案については、原則として賛成する。ただし、適正な監査の実施に疑義を生じさせる事項がある場合または独立性に疑義がある場合は反対する。
- 会計監査人が監査方針に関して会社と対立したことによる不再任の場合、全議案を精査する。
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(役員報酬)
- 第15条
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- 役員報酬に関する議案については、以下の条件がすべて該当することが望ましい。
- 報酬が業績に適切に連動しており、その計算根拠が明確な場合
- 役員報酬について社外取締役が過半数を占める組織が決定する仕組みが確保されている場合、または役員報酬が個別開示されている場合
- 経営に重大な責めがある場合、役員報酬に関する議案に反対する。
- 役員報酬に関する議案については、以下の条件がすべて該当することが望ましい。
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(役員報酬への諮問投票)
- 第16条
- 役員報酬への諮問投票(セイ・オン・ペイ)議案については、以下の各号に規定する条件を勘案し、役員報酬に問題がないと判断される場合、賛成する。
- 会社の業績とCEO(最高経営責任者)の報酬との相関関係
- 問題のある報酬制度や慣行の有無
- 報酬に関する、取締役会と株主との対話や対応状況
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(役員・会計監査人の責任)
- 第17条
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- 取締役または会計監査人の責任を強化する議案には、原則として賛成する。ただし、取締役または会計監査人の軽微な過失を理由として巨額の損害賠償責任を負担させるような議案には、反対する。
- 取締役または会計監査人の責任を減免する議案には、原則として反対する。ただし、合理的な説明があり、かつ、会社法等の法令に基づいており、総合的に勘案して会社の利益になる場合には、賛成する。
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(新株予約権発行)
- 第18条
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- 役員に対して新株予約権(以下、ストックオプション)を付与する議案については、第15条の規程に加え以下の各号に規定する事項を勘案し、精査の上で賛否を決定する。
- 付与数が合理的な数であるかどうか
- 権利行使価格の下方修正条項がある場合、その基準が合理的であるかどうか
- ストックオプションが権利行使された場合、他の株主の持分の希薄化の程度
- 従業員に対してストックオプションを付与する議案については、前項各号に規定する事項に加え、付与対象従業員の範囲についても勘案し、精査の上で賛否を決定する。
- 役員・従業員以外の第三者に対してストックオプションを付与する議案については、1項各号に規定する事項に加え、以下の事項についても勘案し、精査の上で賛否を決定する。
- 付与対象者と会社との関係
- 対価が労働または報酬の代替である場合、その付与について合理的説明があるかどうか
- 役員に対して新株予約権(以下、ストックオプション)を付与する議案については、第15条の規程に加え以下の各号に規定する事項を勘案し、精査の上で賛否を決定する。
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(支配権を争う議案または買収防衛策)
- 第19条
- いわゆる買収防衛策を導入・継続する議案に対しては、原則として反対する。なお、買収防衛策が取締役会で決議される場合には、取締役再任議案に反対する。
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(再構築関連)
- 第20条
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- 持株会社化の議案については、持株会社の設立が合理的かつ明確で、企業価値向上につながる説明がある場合には、原則として賛成する。
- 合併・買収については、合併比率や買収金額等につき、中立的な第三者による算定根拠が明示され、かつ、その算定根拠が合理的と判断される場合には、原則として賛成する。ただし、当該合併・買収が株主価値を毀損するものであることが明らかな場合は、反対する。
- 事業を譲渡する議案、または事業を譲受する議案については、中立的な第三者による算定根拠が明示され、かつ、その算定根拠が合理的と判断される場合には、原則として賛成する。ただし、当該事業譲渡・事業譲受が株主価値を毀損するものであることが明らかな場合は、反対する。
- 株式交換または株式移転を行なう議案については、株式交換・移転の目的である企業再編についての合理的な説明があり、かつ、交換比率・移転比率について中立的な第三者による算定根拠が示されている場合には、原則として賛成する。ただし、当該株式交換・株式移転が株主価値を毀損するものであることが明らかな場合は、反対する。
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(新株発行)
- 第21条
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- 普通株式を発行する議案については、精査の上で賛否を決定する。ただし、既存株主の持分を著しく希薄化する場合または新株引受人にとり特に有利な発行価格でなされる場合は、反対する。
- 議決権を行使することができる事項について内容の異なる種類の株式を発行する議案については、精査の上で賛否を決定する。ただし、経営者支配の強化につながるおそれがある場合は、反対する。
- 優先株式および劣後株式を発行する議案については、原則として賛成する。ただし、既存の株主の持分を著しく希薄化させる場合もしくは普通株式への取得請求権が合理的なものでない場合は、反対する。
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(その他の会社提案)
- 第22条
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- 授権枠を増加する議案については、その目的が合理的かつ明確で、企業価値向上につながる説明がある場合には、賛成する。
- 事業年度を変更する議案については、合理的な説明があり、かつ業績に与える影響が無いまたは軽微な場合には、原則として賛成する。ただし、当該変更の目的が定時株主総会の延期を主目的とするものである場合は、反対する。
- 決議要件を強化または緩和する議案については、その必要性や株主価値を損なうものではないことについて十分な説明がない限り、反対する。
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(株主側提案)
- 第23条
- 株主側提案の議案については、株主利益の最大化という観点から、精査の上で賛否を決定する。
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(附則)
このガイドラインは、令和3年2月25日より施行する。
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- (制定)
- (施行日 平成14年10月1日)
- (改定)
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