2018年4月18日
米中間の貿易摩擦が引き続き市場を揺さぶっています。米商務省は4月16日、中国の通信機器大手、ZTE社が商務省と合意した内容に対して虚偽の説明を行なったとし、米国企業によるZTE社への製品・部品の供給を7年間禁止するとの措置を発表しました。この発表を受け、中国のイノベーション企業が多く上場する深セン市場では、他の企業についても米国からの部品調達が困難になるのではないかとの懸念が拡がったことなどから、深センA株指数は17日に、前日比2.2%下落しました。 米商務省によると、ZTE社は2017年3月、米国の制裁対象国であるイランや北朝鮮に対し、米国製の通信機器を輸出した問題で罰金の支払いに合意したものの、その際に決められた社内での処分を行なわず、米国側に虚偽の供述を行なっていたとされています。このニュースは中国株式市場の取引開始前に発表されたため、同社株式はA株およびH株とも(同社は重複上場銘柄)、寄り付きから取引が停止されました。 今回の問題については、単にZTE社の違反行為に対する罰則というだけではなく、トランプ米大統領が指摘する、知的財産権の保護の観点からの措置であり、米中貿易摩擦の激化につながりかねない材料と捉える向きもあります。実際に、米国側の措置に対し、中国商務省は「米国がルールと規制に基づいてこの問題に公正に対処し、企業にとって公正で安定した環境を望む」といった声明を発表しており、今後中国側の何らかの政治的な動きにつながる可能性もあります。 米中貿易摩擦の行方には今後も注視が必要と考えられます。しかしながら、中国政府側においても、金融や自動車製造などの分野での外資出資制限の緩和や自動車などの関税引き下げ、知的財産権保護の強化といった方針が打ち出されるなど、摩擦回避の動きがみられます。こうした取り組みが進展し、市場心理が好転すれば、深セン市場をはじめとする中国株式市場は落ち着きを取り戻すと期待されます。
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