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2018年5月15日

Vol.1352 「逆イールド」が出現する前の頭の整理

米国の国債利回りの長短金利差が縮小傾向となっています。足元では、米10年国債利回り(長期金利)と米2年国債利回り(短期金利)の差は、短期金利の急上昇を背景に5月10日に0.431ポイント(2.963%-2.532%)と、直近での最低水準となりました。市場では、今後この長短金利差がさらに縮小し、「逆イールド」(短期金利の利回りが長期金利の利回りを上回る状態)になるのではとの観測が拡がっています。

「逆イールド」が生じるかどうかに市場の注目が集まる理由は、過去に、「逆イールド」が生じた後、一定の期間を経て景気後退局面を迎えるという例がみられたためです。また、短期金利で資金を調達し、長期金利で貸し出しを行なう銀行の収益にとってネガティブな環境であることも、市場が「逆イールド」を警戒する背景と言えます。そもそも、短期金利は、中央銀行によって決められる政策金利の影響を強く受けます。政策金利は、一般的に、景気拡大局面で景気の過熱やインフレを抑制するために引き上げられ、景気後退局面で景気の下支えのために引き下げられます。一方、長期金利は、短期金利の動向に加え、先々の景気や物価、財政状況など、将来の不確実性についての市場参加者の判断の影響をより大きく受けます。経済の先行き見通しが明るい場合や将来の物価上昇の可能性が高まっている場合、長期金利は上昇し、一方で景気見通しが悪化する場合や将来の物価上昇の可能性が低い場合、そして、将来の不確実性が高まる場合などは、長期金利は低下する傾向がみられます。

米10年国債利回りは、物価上昇や国債増発に対する懸念を背景に、4月24日に、2014年1月以来の3%台乗せとなったものの、その後落ち着きがみられます。一方、短期金利については、景気の堅調に加え、物価や賃金の伸び上昇などを受け、FRB(米連邦準備制度理事会)は年内にあと2回の利上げを行なうとの見方が有力で、今後上昇が続くとみられます。今後の市場動向を捉える意味で、「逆イールド」の出現に注目する必要はあるとみられるものの、1998年5月や2005年12月のケースでは、その出現があまりにも早く、実際に景気後退局面に入るまで数年かかる間、米国株式市場の上昇は続きました。このまま米国の景気拡大が続けば、2019年7月に戦後最長の120ヵ月を抜くだけに、足元は、景気のピークが意識されやすい環境にあります。そのため、市場は、「逆イールド」の出現に対して神経質になっているとみられるものの、それが即、景気後退入りを示すかどうかについては、世界経済の動向などを踏まえた上で、冷静に見極めていくことが重要と考えられます。

【図表】[左図]米国の景気後退期*と主な指標の推移、[右図]長・短期金利の決定要因のイメージグラフを拡大

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