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2018年5月15日

Vol.1353 風が吹けば新興国通貨安

足元の為替市場では、米長期金利や米ドルの上昇を背景に、新興国通貨安となっています。

特に4月下旬以降は、米国がイラン核合意を破棄し、イラン制裁を再開するとの観測が高まったことで、原油供給の減少が意識され、原油高が進んだことが背景に挙げられます。これにより米国の物価が押し上げられ、利上げが加速するとの観測が高まったことで、米長期金利が上昇するとともに、米ドルが幅広い通貨に対して上昇し、米ドルの総合的な価値を示す米ドル・インデックスは、約4ヵ月ぶりの高水準となりました。こうした米長期金利や米ドルの上昇が、新興国の米ドル建て債務の増加および、それに伴なう景気への悪影響が懸念されたことで、新興国からの資金流出につながり、通貨が下落したとみられます。

4月以降の主な新興国通貨の騰落率をみると、経常赤字(対GDP比)が大きく、インフレ率が比較的高い、アルゼンチンやトルコ、ブラジルなどの下落率が大きくなっており、経済ファンダメンタルズが脆弱な国や政治面での不透明感が強い国などへの影響が大きくなっています。特にアルゼンチンは、足元で前年比25%を超えるインフレ率から通貨安が進み、通貨防衛のため、政策金利を40%に引き上げるとともに、IMF(国際通貨基金)と信用枠設定の協議を開始するなど、大きな影響を受けました。今後も原油高が続けば、ロシアやサウジアラビア、マレーシアなどの原油輸出国が恩恵を受けるとみられる一方で、インドやフィリピン、トルコなどの原油輸入国は、景気減速や物価上昇などの影響を受けるおそれがあります。

ただし、新興国の経済状況は国ごとに異なり、インドや中国、ブラジル、インドネシアなどでは概ね堅調な経済成長が続き、インフレ率も比較的低水準となっています。IMFの世界経済見通しによると、2018年の新興国経済の成長予測は4.9%、2019年は5.1%と景気加速が予測されており、企業景況感も、世界貿易拡大などを背景に、好調に推移しています。また、原油供給について、OPEC(石油輸出国機構)加盟国には十分な生産余力があるとみられるほか、米国の原油輸出も拡大しており、原油価格はいずれ落ち着くとみられます。こうしたことなどから、米国の物価上昇懸念が和らぎ、米長期金利の上昇も緩やかになるにつれて、新興国通貨は持ち直すと期待されます。

【図表】[左図]新興国通貨と米ドル、米長期金利の推移、[右図]主な新興国通貨の騰落率(対米ドル)グラフを拡大

(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)

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