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2018年5月23日

Vol.1359 エネルギー分野から見る米貿易収支
~シェール生産の活発化が改善要因に~

米国の貿易赤字は、近年拡大傾向となっており、2018年2月の貿易赤字額は、2008年10月以来の高水準となりました。ただし、3月には、民間航空機や大豆などに加え、原油の輸出が増加し、貿易赤字額は前月比で15%減と、大きく縮小しました。米国の原油輸出の増加は、貿易赤字拡大を抑える要因となっています。

過去を振り返ると、米国は原油産出国ではあるものの、生産量を上回る米国内の需要を背景に、原油を輸入に頼る状況が続いていたことから、石油関連の赤字額は2011年にかけて拡大傾向となるなど、貿易赤字を押し上げる主因となっていました。しかしながら、2012年以降、原油安に加え、米国内でシェール・オイルやシェール・ガスなどの非在来型エネルギーの生産が増加したことなどから、石油関連の赤字額は大幅に縮小し、2015年頃には赤字全体の1割程度に留まる水準となりました。近年では、シェール・オイルの生産増加をけん引してきた技術革新が一巡し、増産ペースが鈍るなか、やや拡大する場面もみられたものの、引き続き低水準に留まっています。なお、2016年半ば以降は、景気回復に伴なう消費増を背景に、石油関連以外の貿易赤字が大幅に拡大しました。

足元では、原油需給の改善や、米国によるイラン核合意の離脱決定などを背景に、原油価格が大きく上昇しており、シェール企業による生産活動が一段と活発化する可能性が考えられます。EIA(米エネルギー情報局)の見通しによると、米国の原油消費量は横ばいとなっている一方で、生産量は増加する見通しとなっているため、引き続き石油関連の貿易赤字は低水準に留まると見込まれます。さらに、足元で行なわれている米中間での通商協議では、中国が米国の対中貿易赤字を削減するため、米国産の原油やLNGなどのエネルギー輸入を大幅に拡大する案を示しています。

こうしたことから、エネルギー分野の輸出拡大が米国の貿易収支の改善につながり、ひいては米ドル相場の押し上げ要因となることも期待されます。引き続き、米国の貿易収支の行方を見る上で、エネルギー分野の動向にも注目が集まります。

【図表】[左図]米国の原油生産量と消費量の推移、[右図]米貿易収支の推移 グラフを拡大

EIAのデータ(2018年5月8日発表分)など、信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成

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