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2018年5月28日

Vol.1361 メキシコ大統領選挙・連邦議会選挙が近づく中、いまだ妥結に至らないNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉

メキシコ・ペソが足もとで再度、軟調に推移しています。この背景として、長期金利の上昇などに伴ない米ドルが強含む一方、新興国通貨に売り圧力が及んでいること以外に、7月1日のメキシコ大統領選挙・連邦議会選挙が近づいていることや、米国、カナダ、メキシコ間でのNAFTA再交渉が長引いていることなどが挙げられます。

メキシコの大統領選挙については、前・現政権の治安対策の失敗や汚職の蔓延を厳しく追及する、左派のロペスオブラドール元メキシコシティ市長が世論調査で他を大きくリードしているほか、連邦議会選挙についても、同氏率いる新興左派政党MORENA(国家再生運動)の躍進が世論調査で示唆されています。こうした中、ばらまき型の財政政策や、ペニャニエト現政権が進めてきた構造改革の見直しなど、ロペスオブラドール氏の大衆迎合的な政策への懸念が市場で強まっています。なお、MORENAと、選挙連合を組む他2党を合わせても、議席の過半数獲得は難しく、議会の3分の2以上の賛成での憲法改正が必要な構造改革廃止は困難な情勢です。それでも、上下両院で最大勢力となれば、構造改革を停滞させることは可能とされています。

米国の対メキシコ貿易赤字などを問題視するトランプ米大統領の要求で始まったNAFTA再交渉については、7月のメキシコの選挙前に妥結しなければ、新政権の下で事実上、仕切り直しとなる可能性があり、不透明感が続くことになります。また、同選挙前に妥結するとしても、向こう数日中でなければ、交渉結果が米国の議会にかけられるのが来年となってしまいます。米国では、与党に不利とされる中間選挙が今年11月にあるため、来年の議会・下院では与党・共和党が過半割れとなる可能性が高く、議会承認を得るのは難しいとみられています。

このように、メキシコでは、左派政権誕生の可能性が高く、政策面で先行き不透明感が強いほか、NAFTA再交渉が早期に妥結しなければ、対米関係面でも不透明感が続く可能性があります。これらは、メキシコ・ペソの押し下げ要因となるだけでなく、企業の投資や、海外からメキシコへの直接投資の手控えなどを通じて、同国景気に悪影響を及ぼすことも考えられるだけに、今後の選挙戦やNAFTA再交渉の動向が引き続き注目されます。

【図表】[左図]メキシコ・ペソの推移、[右図]メキシコの実質GDPと金利・物価の推移 グラフを拡大

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