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2018年6月6日

Vol.1367 足元で辛抱を強いられている中国本土株式市場
~ただしテクノロジー分野の成長期待は続く~

5月下旬以降、中国本土株式市場は下落基調となっています。これは、米中の通商協議を巡る先行き不透明感などを受け、投資家心理が悪化したことが背景と考えられます。

ここ数ヵ月で、米中通商問題について市場で大きく材料視されたことは主に2つと考えらます。①4月3日に米通商代表部が、中国による知的財産権侵害への制裁措置として、ハイテク製品などを対象に中国からの約500億米ドル、約1,300品目の輸入製品に対して25%の追加関税を課すと表明したこと(4月5日に、トランプ大統領は、新たに1,000億米ドル規模の中国製品を加える旨を指示)、そして、②4月16日に、米国製通信機器をイランや北朝鮮に違法に輸出した過去の事案に絡んで、中国の通信機器大手に対する米企業の製品販売を向こう7年間禁じると、米商務省が発表したこと、です。その後の米中協議のなかで、米国が中国に貿易赤字2,000億米ドルの削減を要求したことに対して、中国が農産物やエネルギーなど米産品の輸入拡大や市場開放を通じて、対米貿易黒字を削減する案を提示しました。これを受け、協議を率いたムニューシン米財務長官が「追加関税の発動を一時保留する」との認識を示したことから、米中貿易摩擦悪化懸念はいったん和らぎました。しかしながら、5月29日、トランプ大統領がこれを翻し、中国による知的財産権侵害に対する追加関税について、対象品目の最終リストを6月15日までに発表し、その後速やかに発動するとしたこと、さらに中国企業の対米投資を制限する新たな制裁案を6月末までに公表すると発表したことから、再び、貿易摩擦激化懸念が拡がりました。

トランプ大統領が、中国に対して強硬路線をとっているのは、対中貿易赤字の削減や、知的財産権の保護などの国際ルールの順守といった狙いに加え、近年、中国が、AI(人工知能)やビッグデータなどの最先端の産業・技術領域で台頭してきたことや、5G(次世代移動通信システム)の開発競争などで優位となっていることへの警戒感が背景にあると考えられます。また、今年11月に米国において中間選挙を控えていることから、支持率の獲得に向けたアピールの面もあるとみられます。ただし、米中の貿易摩擦が激化した場合、事業環境や景気などへの影響が中国だけではなく米国にも拡がる可能性が考えられます。こうしたことから、仮にこの先、米国が制裁措置を公表・実施し、これに対して中国が対抗策を打ち出すといった動きが続いたとしても、同時並行で妥協点を探るための交渉が進められるとみられ、貿易摩擦激化への懸念はいずれ和らぐと考えられます。

「中国製造2025」のもと、産業の高度化に国をあげて取り組んでいる中国において、今後、テクノロジー分野などの中国企業がけん引役となり、一段と技術を向上させ、国内の巨大な市場を取り込みながら、成長を続けるといった大きな流れは止まらないとみられます。こうしたことから、中国本土株式市場は、投資家のリスク回避の動きなどから短期的には変動率の高い動きがみられたとしても、中長期的には、企業の成長見通しなどを背景とした資金流入に支えられ、上向くことが期待されます。

【図表】[左図]主な株価指数の推移(現地通貨ベース)、[右図]「中国製造2025」の10大重点産業グラフを拡大

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