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2018年6月12日

Vol.1369 一様ではない新興国通貨の動き
~ファンダメンタルズの状況や金融政策などに注目~

トランプ米政権による減税策が昨年末に議会を通過し、同国を牽引役とした世界景気加速への期待が高まった今年1月には、米長期金利の上昇にもかかわらず、新興国通貨は総じて堅調となりました。しかし、その後、米国で10年国債利回りが一時、3%を上回るなど、長期金利の上昇が一段と進んだほか、10月の中間選挙を前に、トランプ大統領が通商政策面で保護主義的な姿勢を強めたことなどから、投資家がリスク回避の姿勢を強め、主要新興国通貨に下げが目立つものが増えましたが、その状況は一様ではありません。

中でも下げが大きいのは、大幅な経常赤字を抱え、通貨安阻止に向けた金融引き締めに大統領が難色を示していたトルコです。ただし、5月下旬以降、中央銀行が利上げを積極化したことなどにより、通貨はひとまず下げ止まりを見せています。また、ブラジルでは、経常赤字は縮小したものの、政治の不安定な状況が続く中、10月の大統領選挙・議会選挙を前に大規模なストライキが発生し、回復途上の景気や財政政策などへの影響が懸念されることとなり、通貨が売られました。こうした中、中央銀行が事実上の為替介入を強化する方針を明確にすると、通貨はひとまず下げ幅を縮めました。一方、2月のラマポーザ新大統領の就任から100日以上が経過し、いわゆる「ハネムーン期間」を過ぎた南アフリカや、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉が長期化しているメキシコでは、通貨安傾向が続く中、中央銀行などによる対応に注目が集まっています。なお、アジアでは、経常黒字国を中心に通貨が堅調な国が目立ち、経常赤字のインドネシアやインドでも、通貨は比較的緩やかな下落にとどまりました。しかも、インドネシアで5月に2回の利上げ、インドでも6月に約4年5ヵ月ぶりの利上げが実施されたことなどを受け、足元では持ち直しが見られます。

米国では、6月12~13日のFOMC(連邦公開市場委員会)で今年2回目の利上げが確実視されており、注目はさらなる利上げの行方となっています。年内の利上げ回数について、FOMC参加者の中心的な見方は従来計3回でしたが、これが4回に増えるなど、利上げペース加速の可能性が示唆される場合、米ドル高・新興国通貨安圧力が強まると考えられます。そして、新興国の中でも、経常赤字が大きいなど、ファンダメンタルズが脆弱な国や、政治・通商面で弱みを抱える国の通貨に対して売り圧力が強まる可能性が高く、市場の注目は、そうした国々が通貨安の回避や抑制に向け、断固たる措置を採ることができるかどうかに移るとみられます。

【図表】[左図]米長期金利と米ドル、新興国通貨の推移、[右図]2018年の主要新興国通貨の推移グラフを拡大

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