2018年8月17日
7月末の日銀金融政策決定会合で、「フォワードガイダンス(将来の指針)」の導入や長期金利の変動幅拡大の容認など、金融緩和継続のための枠組みが発表されて以降、長期金利の動向が注目されています。 日銀会合での決定内容のポイントとして、主に以下の3点が挙げられます。 ①日銀の物価安定目標である「2%」の達成時期は、2021年以降との見通しの下、極めて低い金利水準を当分維持するとしたこと
②現行のイールドカーブ・コントロール政策は、長期金利がゼロ%程度となるよう長短金利操作を行なうため、金融機関の収益悪化や流動性低下などの副作用があり、これに配慮して長期金利の変動幅を、従来の±0.1%程度から「2倍程度」まで容認したこと ③変動幅拡大の容認は、副作用への配慮が目的であり、金利の切り上げを想定したものではなく、金利急上昇時には迅速かつ適切に対応すると強調したこと 同会合以降、金融市場では、日銀が上記②の金利上昇をどこまで容認するかを試そうとする動きが見られ、8月2日には、10年国債利回りが一時、約1年半ぶりとなる0.14%台をつけ、超長期国債なども大きく変動しました。しかし同日、日銀が予定外の国債買い入れオペで金利上昇の抑制対応を行なったことから、その後の国債金利は落ち着きを取り戻しつつあります。 国債市場ではこれまで、残存期間10年未満の国債利回りがマイナス水準に沈むなか、利回りを求めて同10年超の超長期国債への資金流入が続いてきました。超長期国債の購入は機関投資家が中心で、個人投資家は投資信託を通じた保有が一般的ですが、超長期金利の過度な低下は、保険や年金などの運用利回りの低下などにつながる可能性があることから、かねてより副作用が指摘されていました。そのため、今回の会合を受けて金利水準が上昇した場合、運用利回りの改善を期待する投資家需要の増加が見込まれ、超長期国債が買われることで、価格の下支えが期待されます。実際、足元では、新発債の入札で予想を上回る需要がみられます。 今後も、日銀動向を睨んで金利変動が高まる可能性もありますが、足元で地政学リスクが高まるなか、「安全性資産」として国債が選好されやすいことや、低金利のさらなる長期化が見込まれるなか、相対的な利回り期待の面からの根強い投資家ニーズなどに鑑みると、超長期国債は、中長期的に底堅い推移が期待されます。
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