2018年8月21日
ブラジルでは、10月の大統領選挙に向けた選挙戦が8月16日に正式に始まりました。13人の候補者中、有力視されているのは主に5人ですが、世論調査でトップの座を占めてきたルラ元大統領は、汚職事件の第2審で有罪判決を受けて収監中で、今後、立候補の受付が却下されるとみられています。そして、他の候補者の支持率に大きな差がない上、態度未定の有権者が多いことなどから、先行きは不透明です。 大統領を2010年までの2期8年、務めたルラ氏は、給付金拡大などにより貧困を削減、資源価格の上昇という追い風もあり、経済を高成長に導いたほか、サッカー・ワールドカップやオリンピックの招致にも成功し、ブラジルの一時代を築いたことなどから、低所得層を中心に今でもカリスマ的人気を誇っています。しかし、同氏には法律上、当選資格がないとして、立候補は無効との判断を選挙裁判所が早ければ月内にも下すとみられ、その場合、同氏と同じ党で、現在、副大統領候補のハダジ氏が大統領候補に鞍替えすると考えられています。 ブラジルでは、汚職の蔓延などから、既存の政党・政治家に対する不信が国民の間で拡がっており、ルラ氏を除くと、世論調査で支持が比較的高いのは、元軍人のボルソナロ氏、次いで、環境保護派でクリーンなイメージのシルバ氏と、ともに少数政党の候補です。一方、改革に前向きで、金融市場で評価されているアルキミン氏は大政党所属で、経済界や中道政党の多くから支持を得ているものの、世論調査では振るいません。 各候補の年金改革への姿勢はマチマチで、選挙結果によって、テメル現政権が推し進めた、財政再建を中心とする構造改革路線が着実に前進するのか、それとも、後退するのかの分かれ道になる可能性が高く、金融市場への影響も大きくなるとみられます。今後の候補者討論会でのやり取りや世論調査の動向、さらに、実施は必至とみられる決選投票に向けての政党間の協力関係や連立の動きなどに要注目です。 いずれも、報道などをもとに日興アセットマネジメントが作成
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