2018年10月25日
10月25日、日本の株式市場では日経平均株価が前日比822円(3.72%)安の21,268円と大きく下落しました。また、為替市場ではリスク回避的に円が1米ドル=111円台まで買われました。この背景には、24日の米国株式市場が大きく値下がり(NYダウ工業株30種平均で前日比▲608米ドル、▲2.4%)したことがあります。 このところの好調な米景気を背景にFRB(米連邦準備制度理事会)が着実に利上げを進めるなか、米国の長期金利上昇が企業業績に与える悪影響や景気の減速などへの懸念から、米国株式市場が軟調な推移となっています。ここ数年、米国経済は好調で、企業業績も順調に伸びていることから、平時の株式市場は企業業績の拡大を評価し堅調な推移となってきましたが、市場には、米中間の貿易摩擦やイランへの経済制裁の復活、英国のEU(欧州連合)離脱を巡る混乱、イタリアの財政問題、サウジアラビアへの国際的な非難など多くの懸念があり、本年10月はこうした懸念が急速に台頭した結果、9月末比で10%近い下落となったと考えられます。 米国は今春より、中国からの輸入に対し知的財産権侵害などを理由に制裁関税を課し、これに対抗して中国が報復関税を課すなど、両国間で貿易摩擦が起きており、米国および中国経済に大きな影響を与えかねないとの不安があります。実際にハイテク産業などに影響が出始めており、ハイテク株比率が高い米ナスダック市場は、今月に入りNYダウ工業株30種平均を上回る下げとなり、調整局面入りしたとの見方も拡がっています。 足元で株価は低迷していますが、米中両国とも、関税引き上げは輸入価格の上昇を通じて自国経済に悪影響を与えることを理解しており、制裁関税を今すぐ強化することは表明しておらず、更なる激化は見込まれていません。また、FRBは米国雇用と物価の両面を見て政策を決めており、現状、米国経済を減速させるほど高い金利水準とはなっていません。そうしたことから、市場の懸念事項が落ち着きを見せれば、日米の株式市場も企業業績を評価する状況を取り戻し、持ち直しの動きを見せて来るものと期待されます。
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