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2019年2月28日

Vol.1462 年金改革で高めの目標を掲げたブラジル新政権
~譲歩は必至だが、改革の道筋がつけば評価は向上へ~

ブラジルでは、2003年以降、ルラ氏、ルセフ氏と2代続いた左派・労働者党政権下でのバラ撒きの影響で財政赤字が深刻化し、治安対策やインフラ整備などに十分な資金を振り向けることができず、経済再生の妨げとなっています。財政の健全化には、手厚い年金制度の改革が不可欠とされ、ルセフ大統領の罷免に伴なって2016年に誕生した中道のテメル前政権が実現に取り組んだものの、議会で十分な支持を得るまでに至りませんでした。

今年1月に大統領に就任した、元軍人で右派のボルソナロ氏率いる新政権は構造改革に前向きで、年金受給開始年齢の引き上げ(男性60歳→65歳、女性55歳→62歳)や保険料の最低納付年数の引き上げなどからなる年金改革法案を2月20日に議会へ提出しました。同法案の歳出抑制効果は10年間で1兆レアル強(約32兆円)と、テメル前政権の案(当初原案:約8,000億レアル→修正案:約4,800億レアル)を上回ります。また、新制度への移行期間が男性10年、女性12年と短いこともあり、国民が負うことになる痛みは前政権の案よりも大きくなっています。ただし、優遇されている公務員の扱いを民間とほぼ同等にするほか、保険料の累進性を高めることに加え、ボルソナロ氏の支持基盤ともなっている軍人向けの年金制度の改革法案も3月に別途、出される予定であることなど、新政権は、限られた層が享受している特権を抑え、公平感を高めるという側面を強調することで、年金改革に対する国民の理解を得ようとしています。

今後、下院では、憲法司法委員会での審議、さらに特別委員会での審議を経て、6月から7月初旬に本会議での2度の採決に至る見通しです。そして、7月後半の議会休会の後、上院では、8月以降、憲法司法委員会で審議が行なわれ、9月から10月にも本会議で2度の採決が行なわれる見通しです。なお、年金改革法案の成立には憲法改正が必要なため、上下両院で5分の3以上の賛成が必要です。ただし、ボルソナロ政権は少数与党であることから、中道諸党などの支持を得てはいるものの、現状では改革実現のハードルは高いとされています。このため、受給開始年齢の引き上げ幅の抑制など、今後、かなりの譲歩を迫られ、法案が薄められるのは必至ながら、骨抜きを回避し、改革に道筋がつけば、政治機能の回復を示すことにもなり、ブラジルの中長期的な評価は高まると考えられます。

【図表】[左図]ブラジルの通貨レアルと株価の推移、[右図]ブラジルの主要指標の推移グラフを拡大

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