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2019年5月9日

Vol.1484 対中制裁関税の引き上げを決定したトランプ政権
~紆余曲折があろうとも、米中合意に向けた模索は続こう~

トランプ米大統領が5月5日、対中制裁関税の第3弾にあたる、中国からの輸入品2,000億米ドル相当に課している追加関税について、税率を10日に10%から25%へ引き上げると投稿したのに続き、翌日にはUSTR(米通商代表部)が同税率引き上げの実施を表明しました。これを受け、市場に動揺が拡がったものの、9~10日に米中閣僚級協議が予定されていることなどから、投資家心理の悪化はひとまず限定的となっています。

対中制裁関税の第3弾の税率は昨年9月の導入当初、同年中は10%、2019年からは25%とされていました。その後、米中が断続的に協議を行なう中、税率引き上げはこれまで2度、見送られてきましたが、トランプ大統領は今回、協議の進展が遅いとして、引き上げを決定しました。報道によると、知的財産権や企業機密の窃取、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作といった中国の構造問題への対応として、同国の法律改正を盛り込んだ合意文章案を先週、中国側が修正し、行政上、規則上の変更を通じた対応で了承するよう、米国に求めた模様です。また、他にもいくつかの分野で両国の折り合いがついておらず、中でも対中制裁関税について、米中協議が合意に至る場合、全面撤廃を求めている中国に対し、米国は、それでは合意が反故にされる恐れが強まるとして、一部維持を主張しているとされています。中国側は、内需関連指標に改善の兆しが見られたことなどを背景に、ここにきてやや余裕が生じ、米中協議を少しでも自国に有利に運ぼうと、合意文章案の修正を試みたとみられます。一方、米国側は、いったん合意した法律改正を中国に再度、飲ませることは十分可能と考え、関税引き上げという圧力に踏み切ったとみられます。

米中のどちらとも、協議の決裂を望んでいるとは考えられず、たとえ10日に税率が引き上げられても、合意に向けた取り組みは今後も断続的に行なわれると期待されます。特に米国では、来年の大統領選挙への関心が高まり始めており、トランプ大統領にしてみれば、まずは中国との協議を合意に導き、続いて、日本やEU(欧州連合)との貿易協議の成功に結びつけようと考えているとみられます。なお、5月9~10日の閣僚級協議以降、具体的な協議予定は定まっていないとみられますが、6月28~29日の大阪でのG20首脳会議は、両国首脳が顔を合わせる場となるだけに、その機会が合意に向けたターゲットの一つになり得ると考えられます。

【図表】米VIX指数と円相場の推移グラフを拡大

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