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2019年5月17日

Vol.1488 人民元の下落基調と米中協議

人民元は、5月に入り下落基調となっています。これは、トランプ大統領が5月5日にSNS上で対中制裁関税の税率引き上げを行なうと発言し、米中協議の妥結に対する先行き不透明感が高まったことなどが背景にあると考えられます。人民元相場(対米ドル)は、16日に1米ドル=6.8837人民元と年初来安値を付けました。

5月10日、米国は、対中制裁関税第3弾となる中国からの輸入品2,000億米ドル相当に対する関税を10%から25%に引き上げました。加えて、USTR(米通商代表部)は、約3,000億米ドル相当の中国からの輸入品に新たに25%の追加関税を課す対中制裁関税第4弾の準備を始めたことを発表し、13日にはその詳細案を公表しました。公表通り6月末以降に第4弾が発動された場合、中国からの輸入品のほとんどすべてに制裁関税が課せられることになります。中国は、13日、対中制裁関税第3弾の税率引き上げに対する報復措置として、6月1日から600億米ドル相当の米国からの輸入品への税率を最大25%に引き上げることを発表しました。しかしながら、もともと、対米貿易において輸入よりも輸出の方が多い中国にとって、関税引き上げの選択肢は米国ほど多く持ち合わせていません。仮に、この先、対中制裁関税第4弾が発動された場合、中国が米国に対する報復措置として、関税引き上げの対象にできる米国からの輸入製品はごく僅かな金額にとどまる状況です。

市場では、中国当局が輸出の下支えなどを狙って、足元で人民元安を容認しているのではないかとの見方が拡がっています。また、米国による対中制裁関税第4弾の発動を控える中、中国は報復措置の手詰まり感などから、人民元安誘導などの通貨政策を通じて米国に対抗する可能性があるのではないか、との見方も一部であります。

人民元安は、短期的には中国の輸出競争力の強化につながる側面があるものの、行き過ぎると資金流出といった副作用を引き起こし、景気に悪影響をもたらす可能性があります。また、仮に、通貨政策を通じた報復措置などを行なった場合、人民元に対する信任の低下などから、中国政府がめざす人民元の国際化への足かせにもなりかねません。こうしたことを踏まえると、中国が「人民元安」というカードを安易に切ってくることは想定し難いと考えられます。米中協議の合意について、この先、難航することが想定される中、市場では、折に触れて人民元安への懸念が拡がることが考えられます。しかしながら、この先、米中協議の中で何らかの妥結点が見いだされ、さらに、中国景気の持ち直しも確認されるようであれば、昨年末以降みられたように、人民元が対米ドルで値を戻す展開になると期待されます。

【図表】主要株価指数(現地通貨ベース)の推移グラフを拡大

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