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2019年8月15日

Vol.1515 景気後退の予兆とされる「長短金利の逆転」
~ただし、米国の景気後退入りの可能性は「ほとんどない」~

昨日14日、世界景気の先行きに対する懸念が強まったことなどから、期間の長い国債を中心に欧米で利回りの低下が進みました。中でも米国では一時、2年債の利回りが10年債の利回りを上回り、「長短金利の逆転」となったほか、英国では長短金利が逆転したまま市場が引けました。「長短金利の逆転」は景気後退の予兆との見方もあり、投資家のリスク回避姿勢が強まったほか、利ザヤ悪化が懸念された金融株が売り込まれるなど、欧米の株式相場が大きく下落、ニューヨーク・ダウ工業株30種の下げは前日比約3%と、今年最大となりました。

世界景気の先行き懸念が強まった背景として、先週発表された英国の4-6月期GDP速報値が前期比▲0.2%と、2012年10-12月期以来のマイナスとなったのに続き、昨日発表された、中国の7月の主要経済指標が軟調だったほか、ドイツの4-6月期GDP速報値も前期比▲0.1%と、2018年7-9月期以来のマイナスとなったことなどが挙げられます。英国の場合、10月末が期限となっているEU(欧州連合)離脱が「ハードブレグジット(合意なき離脱)」となれば、景気後退入りの可能性も否定できない不透明な状況にあり、注視が必要です。ただし、中国の場合、米中摩擦の影響を強く受けていることなどから、景気は鈍化気味ながら、財政刺激策などをとる余地があることを踏まえると、景気後退のリスクは低いと考えられます。また、米国については、イエレン前FRB(連邦準備制度理事会)議長をして、「景気後退を回避できる力強さがあり、景気後退入りの可能性はほとんどない」と言わしめる状況にあり、同氏は、「長短金利の逆転」は歴史的に警告として機能したとしながらも、今回は当てはまらない可能性を強調しています。そして、米国景気の先行き不透明感が今後、強まるような場合には、FRBによる追加金融緩和が見込まれるほか、来年の大統領選挙を前にして景気動向に敏感になっているトランプ大統領が積極的に対策を講じる可能性も考えられます。

投資家心理が、不安材料を背景に極端な悲観に陥り、世界の市場が大きく振れることはしばしばあることです。また、そうした不安材料の顕在化や市場の反応などが当局による対応などを促すと、投資家心理は回復し、市場が持ち直すというのも、繰り返し見られた光景です。今回も、「長短金利の逆転」を受けて性急な行動とるのではなく、景気動向や政策の行方などを見極めながら、慎重な姿勢で臨むことが肝要だと考えられます。

【図表】[左図]米国の債券利回りの推移、[右図]米国株式と円相場の推移 グラフを拡大

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