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2019年11月14日

Vol.1544 保険適用の開始や給付対象拡大を受け、
普及加速が期待される「がんゲノム医療」

2019年は、ゲノム技術を使ったがん医療への健康保険適用開始や適用拡大の動きが国内外で相次ぎ、がんゲノム医療元年の様相を呈しています。

2019年6月、日本で、2つの「がん遺伝子パネル検査」が健康保険の適用対象となったことにより、数十万円と高額だった同検査が、原則3割の自己負担で受診可能となりました。従来の1度に1つまたは少数の遺伝子を調べる遺伝子検査では、解析の対象となるがんの種類も限られていましたが、がん遺伝子パネル検査では、がんに関わる多数の遺伝子を1度の検査で網羅的に解析することが可能となります。英国では、こうした遺伝子データ50万人分を研究し、がんや心臓病、脳卒中など様々な病気の予防や診断、治療法の開発に活用しています。日本でも今回の健康保険適用にあたり、患者から同意を得られる場合には、検査を行なう病院に国立がん研究センターへの遺伝子データの提供を義務付けることになっており、こうした遺伝子データの集積が、ゲノム医療の高度化などにつながると期待されます。

また米国では、8月、ゲノム関連技術を使ったがん免疫療法であるCAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)療法を、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険)の給付対象にすることが決定されました。同療法は、高額な薬価や、全米で統一されたメディケアの指針が存在しなかったことなどが、利用拡大の妨げとなっていましたが、今後は、従来の医薬品では十分な効果を得にくい白血病やリンパ腫治療の新しい選択肢になると考えられています。

日本で、前述のがん遺伝子パネル検査が健康保険適用対象となるのは、「標準治療*」を終えた固形がんの患者の場合など一部に限られているほか、検査をしても有効な治療薬が見つかる症例は現在1割程度であるなど、まだ課題もあります。しかし、従来の検査ではわからなかった遺伝子変異の発見や、がん細胞の特徴の判明は、それぞれの患者に適した治療法の分析・選択(プレシジョン・メディシン)につながる可能性があります。今回の同検査の健康保険適用開始や、CAR-T細胞療法のメディケアでの給付対象決定を機に、今後、ゲノム医療がより身近になり、標準的な診断・治療法のひとつとして普及する契機になると期待されます。
*科学的根拠に基づき、患者にとって現在利用できる最善の治療法であるとされている治療法のこと

【図表】[左図]がん遺伝子パネル検査の流れ、[右図]CAR-T細胞療法のイメージ図を拡大

上図はイメージです。

各種報道などを基に日興アセットマネジメントが作成

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