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2020年3月23日

Vol.1584 大きな値下がりが続くJ-REIT市場
~保有物件の価値は急激に減少するものなのか~

J-REIT(不動産投信)は足元、大きな値下がりが続いています。直近の高値(2月20日)から3月19日までの下落率は49.1%(東証REIT指数、配当なしベース)となり、約半分にまで落ち込んでいます。

J-REITを含むREITは金融商品であり、投資家からの出資や金融機関からの借入金などで集めた資金で実物の不動産物件を購入し、保有物件から得る賃貸収入から運営費用や利息などを控除した利益を投資家に分配する仕組みとなっています。利益の源泉である不動産の賃料の決まり方は、商業施設やホテルなどでは一部(多いところで30%程度)が変動賃料(施設の売り上げに応じて変動)で、オフィスなどは概ね固定賃料であるなど、物件の種類ごとに異なっていますが、賃料は概して安定した推移になるとされています。

現在の価格から市場のJ-REITへの評価を類推すると、J-REITの収益力は半減すると見込まれていると考えられます。事実、一連の新型コロナウイルス騒動で、J-REIT保有の商業施設の売上やホテルの稼働率は落ちています。こうした物件の収益力の低下は、期待される賃料収入から物件価値を算出する収益還元法(不動産価値の算出方法のひとつ)においては、保有物件価値の低下を意味します。仮に現状の物件稼働率低下が1年以上続くならば、一部の物件価値が半減する可能性は否定できませんが、10兆円を優に超えるJ-REITの保有物件の価値すべてが半減する状況は考えづらいと言えます。

一方、日本では現在、個人消費のてこ入れを目的に財政出動が検討され、国債発行の増額への思惑などから金利は上昇傾向にあり、J-REITの利回り面の魅力は幾分弱まっています。また、年度末を控えた金融機関などが、リスク資産の保有量の調節のためにJ-REITを売却しているとの報道もあります。一部ではJ-REIT低迷を過去のリーマン・ショック時と比べる見方もありますが、現在の市場の動揺の要因は金融危機ではなく需要減少であり、現在、大きな経営問題がみられないJ-REITが信用不安に陥ることは考えにくい状況です。

このようにJ-REITの大幅下落は、本質的な収益力低下とは異なる要因の影響が大きいと考えられます。江戸時代から伝わる相場の格言に「野も山も皆一面に弱気なら阿呆になりて米を買うべし」というものがありますが、阿呆の是非はともかく、投資判断を行なう上では、今一度状況を冷静に見てから判断することが大切です。

【図表】J-REITと日本国債利回りの推移(2006年1月6日~2020年3月19日、週次) グラフを拡大

(信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成)

※グラフは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

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