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2020年5月7日

Vol.1598 対円で最安値を更新したトルコ・リラ
~新たな“トルコ・ショック”の可能性に要注意~

トルコでは、新型コロナウイルスの感染者数が欧米主要国やロシアに次ぐ高水準となったこともあり、通貨リラが売られ、対米ドルで2018年8月の“トルコ・ショック”以来の安値圏にあるほか、対円では最安値を更新しました。

トルコ・リラの急落が世界市場の動揺につながった“トルコ・ショック”の直接のきっかけは、クーデター未遂事件に関与したとして、トルコ当局が米国人牧師を拘束したことに伴なう、トルコと米国の関係悪化でした。また、底流には、トルコのエルドアン大統領が、インフレ抑制や通貨防衛に向けた利上げを志向する中央銀行に公然と反対し、同国に対する市場の信任が大きく損なわれたことがありました。その後、“トルコ・ショック”に背中を押される形でトルコ中央銀行が積極果敢な利上げを実施すると、トルコ・リラは窮地を脱しました。なお、米国人牧師は解放されたものの、ロシア製地対空ミサイルの導入などにより、対米関係は現在もこじれたままです。

新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴ない、世界景気の後退が懸念される状況下、IMF(国際通貨基金)が4月に発表したトルコの今年のGDP成長率見通しは前年比▲5.0%と、1月時点の予想から8.0ポイントもの大幅な下方修正となりました。この背景には、主要産業である観光業での大打撃が不可避であることに加え、経済的結びつきが強いユーロ圏のGDP成長率が▲7.5%と、新型ウイルスの影響で大きく下振れすると見込まれていることなどが挙げられます。こうした中、トルコ中央銀行は4月に8会合連続となる利下げを行ない、政策金利を8.75%としました。これは、トルコ・ショック後の24%を大きく下回るだけでなく、足元の物価上昇率をも下回る水準です。他方、トルコから投資資金を引き揚げる動きが加速する中、中央銀行は通貨安への対応として市場介入を行なっている模様で、ここにきて外貨準備高の減少が顕著となっており、IMFに支援を仰ぐべきとの声もあります。

足元では、欧米を中心に経済活動再開の動きが進みつつあることなどから、投資家のリスク回避の動きは一服している模様です。しかし、今後、欧米での感染拡大の第2波の発生や、トルコや他の新興国での感染拡大の深刻化などにより、投資家のリスク回避姿勢が強まるようなことがあれば、トルコの脆弱さに注目が集まり、トルコ・リラの一段安が他の新興国資産に飛び火する可能性も考えられます。それだけに、新型ウイルスの感染抑制動向はもとより、トルコのエルドアン政権や中央銀行による政策のかじ取りにも注視する必要があります。

【図表】[左図]トルコ・リラと物価、政策金利の推移、[右図]トルコの外貨準備高の推移 グラフを拡大

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