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2020年7月8日

Vol.1613 香港国家安全法の施行と中国株式投資の視点

香港では6月末、いわゆる香港国家安全法(以下、「国安法」)が施行されました。メディアでは、国安法により、「一国二制度が終結する」「香港の国際金融機能が失われる」といった評価が見られます。では、中国株式投資の観点からは、どのように考えるべきなのでしょうか。

「一国二制度」というのは、そもそも中国の法律の枠内で定められた制度であり、共産党による社会主義体制は、香港に導入されていません。国防や領土などに関するものを除き、中央政府の法律は香港には適用されず、独自の司法・立法・行政権を有しています。経済体制面でも、中央とは独立した財政・金融制度が採られ、市場、通貨、中央銀行、財政当局など全てが独自のものであり、国際金融市場としての香港を制度面で支えています。

今回、香港で施行された国安法では、国家分裂やテロ活動などの4つの活動を犯罪行為と定め、取り締まるとされています。三権の役割も影響を受け、中央政府管轄の出先機関が新たに作られたり、国安法に関連する裁判では裁判官の指名が影響を受けるなど、香港の自由が制約を受ける側面があります。一方で、これら以外の分野は直接的には変更はなく、特に経済体制面については、従来と変わりません。

もちろん、間接的な影響はこれに留まりません。国安法は4つの活動に関連して広範に適用できる法律のため、政府への批判的活動が日常的な香港において、今後どこまで自由が認められるのか、様子をみる必要があると考えられます。そして、経済活動についても、影響が生じるのかどうか、慎重に見極めることになるはずです。こうしたことから、特に外資系金融機関については、香港での活動の縮小や撤退の動きがあるかもしれません。また、外国政府が香港に与えていた優遇措置を取消したり、中国への制裁措置を加えることも予想されます。他方、国安法が昨年来の香港の政治的な混乱を抑制できれば、中国本土からの人や資金の動きの回復も予想されます。

中国株式投資の観点からは、この間接的影響をどの程度受けるかがポイントになると考えられます。その全てについて、中国政府が対応できるわけではありませんが、香港の金融機能は、北京や上海、深センといった他都市でも代替できないため、中国政府は規制緩和や香港への支援を通じ、影響をできるだけ抑えようとすると考えられます。「一国二制度」が従来の姿から変質することは間違いありません。しかし、それが経済面においてもトータルで見てマイナスの変化をもたらすのか、香港の金融機能を低下させるのかという点は、一概には言えない段階にあり、国安法施行後の中国株式市場の堅調な動きを見てもそれが伺えます。

【図表】[左図]香港国家安全法の概要、[右図]主要株価指数の推移(現地通貨ベース) グラフを拡大

(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)

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