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2020年7月28日

Vol.1619 膠着状態が続くトルコ・リラ
~難しいかじ取りを迫られる中央銀行~

トルコ・リラは今年5月初め、新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に大きく売り込まれ、2018年のトルコ・ショック時につけた対米ドルでの最安値を更新しました。足元では、下げ幅をやや縮めた水準で、ほぼ膠着状態となっています。

トルコ中央銀行は、エルドアン大統領からの再三の利下げ要請を拒み続けた前総裁が更迭された昨年7月以降、今年5月まで9会合連続、計15.75ポイントの利下げを行ない、主要政策金利を8.25%としています。一方、こうした超金融緩和政策などを背景にインフレ率は政策金利を上回る水準に加速し、足元では実質金利が大幅なマイナスとなっている状況です。景気悪化や超金融緩和政策などを背景としたリラ安が、同国での新型ウイルス感染拡大の影響などから今年3月以降、勢いを増したことを受け、中央銀行は市場介入を積極化したとみられ、4月にかけて外貨準備高が急減する事態となりました。ところが、足元では外貨準備高の減少ペースが大きく鈍化したにもかかわらず、リラはほぼ横ばいとなっています。この点について、外貨準備高のさらなる減少を回避すべく、中央銀行が市中銀行から預かる外貨を用いて、国営銀行を通じた間接的なリラの買い支えを行なっているとの見方が市場では有力です。なお、中央銀行は6月以降、2会合連続で政策金利を据え置き、直近7月の会合では、5月に始まった景気回復を踏まえ、年末の予測インフレ率の上振れリスクに言及していることなどから、政策金利が今後、引き上げられるとの見方も一部で台頭しているものの、リラに大きな反応は見られません。

昨年来の超金融緩和政策に加え、コロナ禍に伴ない、トルコでも経済支援に向けた財政政策が採られています。そして、5月中旬以降、移動制限が段階的に緩和され、6月中旬には国境の封鎖措置もほぼ解除されるなど、海外からの観光客の受け入れ準備も進みつつあります。こうしたことから、同国の景気も回復に向かうと見込まれる一方、超金融緩和政策に伴ない、信用の伸びが高水準となっていることなどもあり、昨年後半にほぼ黒字で推移した経常収支が足元で再度、赤字に転じているだけでなく、来年4-6月期にかけて赤字幅がGDP比2.8%程度に拡がると見込まれています。また、インフレ率も、足元の12%台からは低下するものの、10%前後の高い水準で推移するとみられています。経常赤字や高インフレといった、トルコの脆弱性が再度、注目されるようになれば、リラ売り圧力が高まることも考えられるだけに、中央銀行の今後のかじ取りが注目されます。

【図表】[左図]トルコ・リラと物価、政策金利の推移、[右図]トルコの外貨準備高の推移 グラフを拡大

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