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2020年8月11日

Vol.1623 約10年ぶりの下落率を記録した米ドル
~感染拡大だけでなく、ワクチンの開発動向にも要注目~

米ドルは今年5月下旬以降、軟調気味に推移しています。特に7月には、米ドルの総合的な強さを示す米ドル・インデックスが4.2%下げ、月間騰落率で▲5.4%を記録した2010年9月以来の大きな下落となりました。

こうした米ドル安の主な背景の内、国内要因として、新型コロナウイルスの感染が南部・西部を中心に再び拡がっており、景気回復が遅れるとの懸念や超緩和的な金融政策の長期化観測につながり、長期金利が低下したことなどが挙げられます。その他に、失業保険の加算給付が7月末で終了するなど、コロナ禍対策として打たれた財政政策が次々と期限切れを迎える、いわゆる「財政の崖」と呼ばれる逆風が吹き始める中、追加景気支援策を巡る政権と野党・民主党指導部による協議に時間を要していることも挙げられます。なお、トランプ大統領は8月8日、失業保険の加算給付を減額した上での延長や給与税の猶予など、景気支援に向けた大統領令を発動したものの、歳出の決定権は原則として議会にあり、追加景気支援策については依然、不透明さが残っています。

米ドル安の一方、金価格が最高値を更新していることなどを受け、米ドルに対する信認が揺らぎ始めているとの指摘も聞かれます。しかし、新型ウイルスのパンデミックで投資家の不安が極度に高まった今年3月中旬に、株式のみならず国債や金まで売られたのに対し、米ドルが大きく買われてからの5ヵ月弱の間に、米ドルの信認が揺らぐほどのことがあったようにはみられません。ただし、米ドル安の外部要因として、欧州通貨高を挙げることができます。7月に対米ドルで上昇した通貨の上位には、資源国通貨などを差し置いて、ユーロを含むEU(欧州連合)加盟国通貨が目立ちます。こうした欧州通貨高は、同月のEU首脳会議で、コロナ禍を契機とした構造転換に向けた復興基金の創設が合意され、欧州の結束が示されたことを反映したものとみられます。なお、欧州通貨が一段と力強く上昇するには、欧州議会や加盟各国での承認を経て創設される同復興基金などにより、欧州で構造転換や統合の深化が進むかどうかにかかっており、それが確認されるまでには時間を要すると考えられます。

米ドルは目先、主に追加景気支援策や感染拡大の行方に左右されるとみられます。ただし、新型ウイルス向けのワクチンが実用化に至れば、経済活動正常化の進展による景気回復期待の高まりに伴ない、超緩和的な金融政策の見直しも視野に入り始めることなどから、米ドルの見直しにつながる転機となることも考えられます。

【図表】[左図]米ドル・インデックスと円、ユーロ、主要資産の推移、[右図]主要通貨の対米ドル騰落率 グラフを拡大

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