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2020年8月24日

Vol.1625 潜在的リスクが高まるトルコ金融市場
~利上げ判断が遅れれば、ツケが膨らむ可能性も~

トルコでは、8月17日にトルコ・リラが対米ドルで最安値を更新したものの、中央銀行は20日、主要政策金利である1週間物レポ金利を3ヵ月連続で据え置くことを決定しました。据え置きが市場予想どおりだったことなどから、今回の決定を受けてリラに大きな動きは見られなかったものの、問題が山積する同国では利上げが必要不可欠とみられており、今後、中央銀行の決断を促すような更なるリラ安が進む可能性は否定できません。

中央銀行は、エルドアン大統領からの再三の利下げ要請を拒み続けた前総裁が更迭された昨年7月以降、今年5月まで9会合連続、計15.75ポイントの利下げを行ない、1週間物レポ金利を8.25%としました。一方、インフレ率が直近7月で前年同月比+11.76%と高止まりしているため、実質金利は約▲3.5%となっています。こうした中、中央銀行への不信や大幅な実質マイナス金利などを背景に、家計の貯蓄が米ドルや金に移行しているほか、リラ安傾向となっています。そして、リラ安は、物価の押し上げ要因となっているだけでなく、一段安回避に向けた市場介入に伴ない、外貨準備高の大幅減少につながりました。また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気下押し圧力への対応として、エルドアン政権が銀行融資を強力に促進し、住宅ローンや自動車ローンが著しく拡大したこともあり、経常収支が足元で再度、赤字に転じているだけでなく、赤字の拡大が見込まれている状況です。

中央銀行は、いまだに利下げを求める大統領の手前、利上げを見送っているものの、上述のような問題に対処すべく、市中銀行の資金調達手段の絞り込みや預金準備率の引き上げなどの補完的な手段により、既に「裏口」の金融引き締めに踏み切っています。ただし、同様の対応がとられた2018年のトルコ・ショック時には、最終的に大幅利上げを余儀なくされました。しかも、利上げタイミングが遅くなるほど、政策金利の引き上げ幅が拡がることとなり、その分、景気へのマイナスの影響が大きくなるとみられるだけに、中央銀行の今後の判断が注目されます。

なお、エルドアン大統領は8月21日の会見で、国内では過去最大規模の天然ガス田を黒海で発見したとして、建国100年となる2023年にも天然ガスの供給を始め、将来的には輸出も視野に入れられると述べました。ただし、今回の発見がエネルギーの多くを輸入に依存する同国の経常収支の大幅改善につながるかどうかについては、天然ガスの埋蔵量や産出量を確認する必要があり、結論が下るまでに時間を要する模様です。

【図表】[左図]トルコの通貨、物価、外貨準備高の推移、[右図]トルコの主要金利の推移 グラフを拡大

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