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2020年10月9日

Vol.1644 ゲノム編集技術の開発者が2020年のノーベル賞受賞
~「CRISPR/Cas9」を改めてご説明~

スウェーデン王立科学アカデミーは10月7日、今年のノーベル化学賞を、遺伝子を効率的に改変するゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパー/キャスナイン)」の主要な開発者とされるジェニファー・ダウドナ氏とエマニュエル・シャルパンティエ氏に授与することを発表しました。この発表を受けて、CRISPR/Cas9のライセンスを保有する3社である「CRISPRセラピューティクス」、「インテリア・セラピューティクス」、「エディタス・メディシン」の発表当日の株価は大幅な上昇となったほか、ゲノム関連銘柄で構成される代表的な株価指数(米ドルベース)も、前日比+3%超の上昇となりました。

「ゲノム編集技術」とは、生物の遺伝子に新たな遺伝子を加えたり、一部を削除したりすることで、その生物に任意の特性を追加する、あるいは取り除く技術を指します。以前より、ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)やTALEN(ターレン)といったゲノム編集技術が存在していましたが、これらの技術は、ゲノム編集に伴なう作業の煩雑さやコストなどの面で課題がありました。CRISPR/Cas9は細菌がウイルスの攻撃から身を守るための免疫システムを応用したゲノム編集技術で、従来の技術と比べて、大幅に短期間で安く編集できることや技術的ハードルの低さなどから急速に普及し、今日では生命科学分野において必要不可欠な技術とも言われています。

CRISPR/Cas9はすでに多方面で活用されています。例えば医療分野では、血液ガンへの高い効果が期待される「CAR-T療法」を、固形ガンなど多様なガン細胞に活用する研究や、遺伝子の変異により発生する遺伝性の疾患の治療、新型コロナウイルスを従来よりも素早く検出する手法の開発などに、CRISPR/Cas9が応用されています。また農業分野でも、血圧の降下などに効果があるとされる成分「GABA(ギャバ)」を豊富に含むトマトや温暖化による異常気象などの影響を受けにくいカカオ、肉厚で可食部の多い真鯛などの開発が進められているほか、地球環境の保護においても、植物の光合成の能力をゲノム編集で強化し、大気中の二酸化炭素を減らす研究が行なわれています。

ゲノム編集技術は、安全性の審査や倫理上の問題など課題があるものの、長期的には多方面に大きな影響を与えうる可能性を秘めており、今回の受賞をきっかけに、今後ますます注目が高まりそうです。

【図表】[左図]CRISPR/Cas9で特定の遺伝子を編集、[右図]ゲノム関連株式は足元で大きく上昇 グラフを拡大

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