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2020年10月26日

Vol.1648 「裏口」の金融引き締めを選択したトルコ中央銀行
~トルコ・リラの軟調が続くとの見方が有力に~

トルコ中央銀行は10月22日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を10.25%で据え置く一方、後期流動性貸出金利の引き上げ(13.25%→14.75%)を決定しました。市場では1週間物レポ金利の12.00%への引き上げが有力視されていたため、同金利を据え置くとの発表を受けてトルコ・リラが売られ、一時、1米ドル=7.9797リラをつけるなど、対米ドルでの最安値を更新しました。

トルコ・リラ安の進行などを受け、トルコ中央銀行は今年8月以降、1週間物レポ金利を据え置く一方で、市中銀行に資金供給する際、同金利より水準の高い翌日物貸出金利や後期流動性貸出金利を適用するという補完的な手段により、「裏口」の金融引き締めを行なってきました。正攻法の利上げではなく、「裏口」の金融引き締めを同中央銀行が採った背景には、景気を重要視し、執拗に利下げを要求してくるエルドアン大統領への配慮があったとみられています。しかし、前回9月の金融政策決定会合では、市場の大方の見方を裏切り、1週間物レポ金利を8.25%から10.25%へ引き上げる、2年ぶりの利上げが決定されました。市場では、これを機に同中央銀行の政策運営が主要政策金利である1週間物レポ金利を軸とした、透明性の高いものに移行するのではとの期待につながりました。ところが、今回はその期待が裏切られ、「裏口」の金融引き締めの継続が示唆される形となりました。

トルコについては、経常赤字や高水準のインフレ率が従来から懸念されているほか、上述のように中央銀行が市場からの信認を失っていることや、足元の外貨準備高の急減なども警戒されています。また、結びつきの深い欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大している影響で、同国の主要産業の1つである観光業の回復には時間を要するとみられます。さらに、ギリシャなどが主権を主張する海域でのガス田の探査や、NATO(北大西洋条約機構)加盟国でありながら、ロシアから地対空ミサイルシステムを購入したことなどから、EU(欧州連合)や米国との関係が悪化しており、最悪の場合、経済制裁を受ける恐れもあります。さらに、今夏以降、旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの間で領土を巡る民族紛争が起きたことに伴ない、アゼルバイジャンを支持するトルコと、アルメニアと軍事同盟を結んでいるロシアとの関係悪化の可能性も懸念されています。こうした中、市場ではトルコ・リラの軟調が続くとの見方が大勢を占めている模様です。ただし、今後、トルコ中央銀行が方針を改め、通貨安や高インフレ率への対応として利上げを明確に打ち出せば、弱気一辺倒の市場の評価が変わることも考えられます。

【図表】[左図]トルコの通貨、物価、外貨準備高の推移、[右図]トルコの主要金利の推移 グラフを拡大

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