2015年3月4日
ニュージーランド・ドルは、年内の利上げが予想される米国と、金融緩和の継続が予想される日本の金融政策の方向性の違いなどを背景に、対米ドルで軟調ながら、対円では底堅い推移となっています。 ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)が、昨年7月に利上げの一時的な中断を示唆したことなどから、ニュージーランド・ドルは下落基調となりましたが、10月末に日銀が追加金融緩和を決定すると、対円では大きく上昇しました。その後、RBNZが今年1月の政策決定会合で、原油安の影響で同国のインフレ率が目標レンジ(1~3%)を下回る見通しを示し、今後の金融政策については経済指標次第で利上げも利下げもあり得る中立的な姿勢としたことなどから、対円、対米ドルで大きく下落しました。しかし、2月以降は、国内の堅調な雇用環境や主な輸出品である乳製品の価格が回復傾向となったことなどから、ニュージーランド・ドルは、対円、対米ドルで値を戻す展開となっています。 昨年、乳製品価格は、過剰在庫を抱えた中国の輸入減少や、ロシアが経済制裁に対抗して乳製品の輸入禁止措置をとったことで、ユーロ圏の製品がだぶついたことなどにより、2014年2月の高値から約50%下落しました。しかし、12月以降、米国でのバターや東南アジアなどでの粉乳類の需要増加などから、乳製品価格は回復基調となり、足元で約3,400米ドル/トンと昨年12月中旬から約30%の上昇となっています。 今後、ニュージーランドのインフレ率がさらに低下するなどして、金融政策が利下げに向かう場合や、米国の利上げが市場予想に反し速いペースで進む場合は、ニュージーランド・ドルは短期的に軟調となる可能性があります。しかし、ニュージーランドの金利水準は他の主要先進国と比べて魅力的な水準にあり、日本との金利差も継続すると見られることに加え、乳製品価格が回復基調にあることなどから、ニュージーランド・ドルは対円で底堅く推移するものと期待されます。 (GlobalDairyTradeおよび信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成) ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
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