2015年4月24日
日経平均株価が15年ぶりに終値で2万円を突破するなど、日本株式の上昇が続いています。速いペースで上昇したことから、一部では過熱感が指摘されていますが、今後の企業業績改善や株主還元拡大への期待感などから、一段高の予想も出ています。 株価が割高か、割安かを見る指標のひとつに、1株当たり利益に対し、株価が何倍まで買われているかを表す株価収益率(PER)があります。足元の予想PERは約16倍(TOPIX、ブルームバーグ予想)となっており、これまで株価は大きく上昇したことから、現在の株価水準は割高となっているのでしょうか。 過去のデータを検証すると、PERが16倍以上となった月のその後12ヵ月間の平均リターン(年率)は、約6割がプラスのリターンとなり、マイナスとなる割合を上回ったうえ、約4割が10%以上のリターンとなりました。データでは、PERの水準が高くなると、その後のリターンは低くなる傾向が見られたものの、その関係性はあまり強くありませんでした。そのため、あくまで過去の傾向ではありますが、現在のPERの水準が株価の調整につながるとは限らない、ということもできます。それに加え、主要先進国の株価指数のPERを比較すると、足元で15倍から18倍程度となっていることから、日本株式は一概に割高とは言えないと考えられます。 なお、「PER=PBR(株価÷1株当たり株主資本)÷ROE(1株当たり利益÷1株当たり株主資本)」という関係があることから、ROEが上昇すればPERは下落します。このため、スチュワードシップ・コードなど昨今の企業の「稼ぐ力」の向上を促す流れから、企業が利益率の改善などを通じてROEの向上を図れば、PERの低下につながり、日本株式の上昇余地もさらに拡大すると期待されます。
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