当レポートは、英語による2019年12月発行「GLOBAL CREDIT OUTLOOK 2020」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。

サマリー

  • 2020年のグローバル・クレジットについては楽観的な見方をしており、スプレッドは安定的に推移または小幅に縮小すると予測している。当社では、投資適格債、景気動向の影響を受けにくいノンシクリカル銘柄、銀行債、劣後債、アジア・クレジットなどを中心に投資していく方針である。
  • 欧州中央銀行(ECB)や米国連邦準備制度理事会(FRB)を中心とした各国中央銀行の金融政策が強力なサポート要因となっており、2020年のクレジット市場のリターンについては楽観的な見方を強めている。
  • クレジット以外では、世界のマクロ経済環境の安定化が続くことが金利上昇につながり、トータルリターンに悪影響を及ぼす可能性があることから、2020年には金利リスクが重要なトピックになると予想している。そうしたなかでも、当社では、グローバル・クレジットのアクティブ運用によって、クレジット部分でプラスの超過リターンを創出することこそが、金利上昇の影響を軽減する最も効果的なアプローチであると考えている。

2020年のグローバル・クレジットの見通し

今と比べて2019年1月当時は、グローバル・クレジット・ポートフォリオにおける意思決定が簡単だったようにみえる。経済指標はまずまずの内容が続き、バリュエーションは2018年第4四半期の市場急落を経て割安な水準にあり、主要中央銀行が債券購入プログラムを終了して市場から退場したことで市場機能が乱されることもなくなっていた。2019年の当初、当社では、グローバル・クレジット市場に対するポジティブな見方を反映したポートフォリオのポジショニングを決定した。足元では、2019年の堅調な上昇を受けてポートフォリオのリスク量を削減しており、年末にかけては売却を進めて利益の大部分を確定した。目下の重要な問いは、次に何が来るかである。2019年末のグローバル・クレジット市場は年初に比べて複雑さが増した感があることは確かだ。マクロ経済指標が大幅に軟化する一方、スプレッドは縮小しており、バリュエーションは割安から割高へと傾いている。しかし、主要中央銀行の金融政策スタンスや量的緩和プログラムの再開、そして金利の低下を受けて、ファンダメンタルズが軟化しているなかでもスプレッドはタイトな水準にとどまっている。ECBやFRBを中心とした各国中央銀行の金融政策が強力なサポート要因となっており、当社では2020年のクレジット市場のリターンについて楽観的な見方を強めている。では、2020年に備えてどのような投資戦略をとるべきか。

当社では、投資適格級セクターに注目し、投機級のクレジットには慎重な姿勢を維持する方針だ。すでに経済情勢の軟化による打撃が一部の企業に及んでおり、投機級銘柄のデフォルト率が上昇しているほか、ディストレスト債並みの水準で売買されているクレジットもある。中央銀行によるサポートは市場全般の下支えには効果があるだろうが、破綻したビジネスモデルを直してくれることはない。投機級の発行体に投資する場合、当社ではノンシクリカル・セクター内の安定したBB格付け銘柄を中心に投資を行っている。市場のなかでもこの分野は割高に見受けられるが、投資適格級に比べて利回りが魅力的で手堅い銘柄には引き続き需要があることから、一段の値上がり余地があるとみている。

また、ポートフォリオ構築を柔軟に行い、ポートフォリオにおけるCDS市場のリスクを継続的に管理していくことを引き続き最優先していく方針である。当社グローバル・クレジット戦略では、債券市場よりも流動性が優れているCDS市場を活用することで、ポートフォリオ運用における機動的なリスク調整を可能にしている。

投資適格債ユニバースのなかでは、ノンシクリカル・セクター(電気通信、公益事業など)および銀行セクターに対して強気な見方を維持している。ノンシクリカル銘柄はより国内市場に重点を置いている場合が多く、したがって貿易戦争やそれがもたらす景気鈍化の影響を受けにくい傾向にある。一方、過去1年間にわたって軟調に推移してきた外需型のシクリカル銘柄は、バリュエーションの観点から投資妙味が出てきている。大部分の自動車メーカーは、コスト削減や生産調整、未来のテクノロジーへの投資など適切な措置を講じており、足元では一部の高格付け発行体のスプレッドが魅力的な水準にあると見受けられる。

ノンシクリカル銘柄の発行体や一部の外需型銘柄にみられる投資機会のほか、当社では銀行銘柄を引き続き選好している。低金利環境は引き続き銀行の収益性に悪影響を及ぼすと予想されるが、大半の銀行は自己資本比率が健全な水準にあり、それによって引き続き信用力が十分に下支えされている。さらに、金融セクター以外では世界中で多数の企業の負債比率が上昇しているなか、銀行の負債比率は引き続き低下または少なくとも安定的に推移していることから、銀行は金融以外のセクターよりもディフェンシブ性が高いと言える。

その他にポートフォリオの大きな割合を占めるだろう投資テーマとして、劣後債およびアジアの投資機会に強気な見方をしている。当社では、金融およびそれ以外のセクターのなかから、経営基盤がしっかりとした投資適格級発行体の劣後債に投資し、優先債よりも厚いスプレッドを取り込んでいる。特に欧州の銀行の非優先シニア債は、ポートフォリオの利回りを向上させる魅力的な投資機会を提示している。

アジア・クレジットをポートフォリオに組み入れることには複数の利点がある。第1に、アジア地域の債券は、先進国債券に比べてデュレーションが短い場合が多く、ボラティリティがより低い傾向にある。アジアの投資適格級発行体のスプレッドは欧米の大半の発行体と同等の水準であり、ポートフォリオに組み入れることで金利リスクの低減を図ることができる。第2に、アジア諸国では国内投資家からの需要が旺盛で、新発債全体の約80%が現地投資家によって買われている。これは、ボラティリティが上昇する局面においてもアジア・クレジットにとっての強力な下支え要因となる。最後に、当社では中国を筆頭に大半のアジア諸国は2020年に景気が安定すると予想している。なお、投資先としては高格付けの国有企業に注目している。

以上を総合的に勘案し、2020年については楽観的な見方をしており、スプレッドは安定的に推移または小幅に縮小すると予測している。当社では、投資適格債、ノンシクリカル銘柄、銀行債、劣後債、アジア・クレジットなどを中心に投資し、また、BB格付けの債券および自動車関連銘柄へも投資していく方針である。クレジット以外では、世界のマクロ経済環境の安定化が続くことが金利上昇につながり、トータルリターンに悪影響を及ぼす可能性があることから、2020年には金利リスクが重要なトピックになると予想している。そうしたなかでも、当社では、グローバル・クレジットのアクティブ運用によって、クレジット部分でプラスの超過リターンを創出することこそが、金利上昇の影響を軽減する最も効果的なアプローチであると考えている。

グローバル・クレジット戦略の概要

【投資対象】
日興アセットマネジメント株式会社のグローバル・クレジット戦略に合致した有価証券および金融派生商品
【報酬等の概要】
お客様には以下の費用をご負担いただきます。
<投資顧問報酬等>
固定報酬:現時点では未定となっております。
その他費用:組入れ有価証券の売買委託手数料など。また投資信託に投資する場合、信託財産留保額、組入れ、解約等に際しての手数料等、組入れ有価証券の売買委託手数料、有価証券の保管などに要する費用、管理費用、監査費用、設立にかかる費用、借入金の利息、借株の費用などがかかる場合があります。

※その他費用については、運用状況などにより変動するものであり、事前に料率、上限額などを表示することができません。
契約に関してお客様が預託すべき委託証拠金はございません。
当戦略の投資に際しては、投資一任契約に基づき投資信託に投資する場合があります。

当戦略にかかるリスク情報

  • 当戦略の投資にあたっては、主に以下のリスクを伴ないます。お申込みの際は、当戦略のリスクを充分に認識・検討し、慎重に投資のご判断を行なっていただく必要があります。
  • 当戦略は、主に債券を実質的な投資対象としますので、債券の価格の下落や、債券の発行体の財務状況や業績の悪化などの影響により、運用資産の評価額は変動し、損失を被ることがあります。また、外貨建資産に投資する場合には、為替の変動により損失を被ることがあります。したがって、投資元金は保証されているものではなく、運用資産の評価額の下落により、損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。当戦略の運用による損益はすべて投資者の皆様に帰属します。
  • 当戦略の主なリスクは以下の通りです。運用資産の評価額の変動要因は、下記に限定されるものではありません。

【価格変動リスク】
一般に公社債は、金利変動により価格が変動するリスクがあります。一般に金利が上昇した場合には価格は下落し、運用資産の評価額が値下がりする要因となります。ただし、その価格変動幅は、残存期間やクーポンレートなどの発行条件などにより債券ごとに異なります。一般に新興国の債券は、先進国の債券に比べて価格変動が大きくなる傾向があり、運用資産の評価額にも大きな影響を与える場合があります。

【流動性リスク】
市場規模や取引量が少ない状況においては、有価証券等の取得、売却時の売買価格は取引量の大きさに影響を受け、市場実勢から期待できる価格どおりに取引できないリスク、評価価格どおりに売却できないリスク、あるいは、価格の高低に関わらず取引量が限られてしまうリスクがあり、その結果、不測の損失を被るリスクがあります。一般に新興国の債券は、先進国の債券に比べて市場規模や取引量が少ないため、流動性リスクが高まる場合があります。

【信用リスク】
一般に公社債および短期金融資産の発行体にデフォルト(債務不履行)が生じた場合またはそれが予想される場合には、公社債および短期金融資産の価格が下落(価格がゼロになることもあります。)し、運用資産の評価額が値下がりする要因となります。また、実際にデフォルトが生じた場合、投資した資金が回収できないリスクが高い確率で発生します。一般にハイイールド債券は、上位に格付された債券と比較して、利回りが高い反面、価格変動が大きく、デフォルトが生じる可能性が高いと考えられます。一般に新興国の債券は、先進国の債券に比べて利回りが高い反面、価格変動が大きく、デフォルトが生じるリスクが高まる場合があります。

【為替変動リスク】
外貨建資産については、一般に外国為替相場が当該資産の通貨に対して円高になった場合には、運用資産の評価額が値下がりする要因となります。

【カントリー・リスク】
投資対象国における非常事態など(金融危機、財政上の理由による国自体のデフォルト、重大な政策変更や資産凍結を含む規制の導入、自然災害、クーデターや重大な政治体制の変更、戦争など)を含む市況動向や資金動向などによっては、当戦略において重大な損失が生じるリスクがあり、投資方針に従った運用ができない場合があります。一般に新興国は、情報の開示などが先進国に比べて充分でない、あるいは正確な情報の入手が遅延する場合があります。当戦略の投資対象資産が上場または取引されている諸国の税制は各国によって異なります。また、それらの諸国における税制が一方的に変更されたり、新たな税制が適用されたりすることもあります。以上のような要因は、運用資産の評価額に影響を与える可能性があります。

【デリバティブリスク】
金融契約に基づくデリバティブとよばれる金融派生商品を用いることがあり、その価値は基礎となる原資産価値などに依存し、またそれらによって変動します。デリバティブの価値は、種類によっては、基礎となる原資産の価値以上に変動することがあります。また、取引相手の倒産などにより、当初の契約通りの取引を実行できず損失を被るリスク、取引を決済する場合に反対売買ができなくなるリスク、理論価格よりも大幅に不利な条件でしか反対売買ができなくなるリスクなどがあります。

当資料は、日興アセットマネジメント株式会社が「グローバル・クレジット戦略」についてお伝えすること等を目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。 内容に関する一切の権利は弊社にあります。事前の了承なく複製、第三者への配布または転載等を行なわないようお願いいたします。当資料の情報は信頼できると判断した情報 に基づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について弊社が保証するものではありません。当資料中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束する ものではありません。当資料中のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。

この提案書に記載されているパフォーマンスの数字は全て予測によるシミュレーションおよび過去の実績によるものです。 よって必ずしも将来同様の結果がもたらされることを保証するものではありません。

当社がインサイダー情報を入手した場合には、当該情報が公開されるまでの間、運用に制約が加わることとなり、運用パフォーマンス に悪影響を及ぼすおそれがあります。お客様より当社の役社員にインサイダー情報を伝達することのないようにご注意ください。

当資料は、日興アセットマネジメント株式会社が「グローバル・クレジット戦略」についてお伝えすること等を目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。 内容に関する一切の権利は弊社にあります。事前の了承なく複製、第三者への配布または転載等を行なわないようお願いいたします。当資料の情報は信頼できると判断した情報 に基づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について弊社が保証するものではありません。当資料中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束する ものではありません。当資料中のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。