本レポートは、2020年9月10日発行の英語版「Future-proof your portfolio with global internet companies」の日本語訳です。内容については英語の原本が日本語版に優先します。

インターネット関連銘柄は大躍進し、年初来パフォーマンスが市場全体を大幅に上回っている。これらの企業は、この先のコロナ後の世界で極めて大きな役割を果たしていく見通しであり、さらなる成長余地がある。

デジタル時代での生活

現在はあらゆるものがインターネットとつながる「ハイパー・コネクテッド」な世界になっており、私たちは日々の生活のかなりの部分をオンラインで過ごしている。インターネットのおかげであっという間に情報を調べたり、世界中どこにいても大事な人と連絡を取り合ったり、食料品を注文したり、エンターテイメントを消費したりすることがいとも簡単にできる。今年、インターネット関連銘柄は市場全体を大幅にアウトパフォームしている。新型コロナウイルスの流行を受けた市場の急落局面でも比較的底堅く推移し続け、その後の市場の回復局面ではいち早く反発に転じた。今年これまで好調に推移してきたグローバル・インターネット企業は、コロナ後の経済においても引き続き繁栄していくと考えられる。それでは、インターネット関連銘柄へのエクスポージャーがこの先何十年にもわたって投資家に有利に働く可能性があると考える理由を説明していく。

習慣の変化がインターネット関連企業の大きな追い風に

インターネット関連企業は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)が招いた変化の恩恵を受けるとみられる。非接触型社会を推進するために必要に迫られてデジタル化の進展が加速しつつあり、インターネットは現在のように社会的距離の確保を求められる状況においてみんなをつなぐ接着剤の役割を果たしている。「サイコ・サイバネティクス」の著者で有名な米国人作家のマックスウェル・マルツ博士によると、習慣ができるまでには少なくとも21日間かかる。新型コロナウイルスの流行はこの期間をはるかに超えて続いており、長期にわたって持続する影響を消費者に与えている。こうしたファンダメンタルズのシフトは、次のようにインターネット関連企業に恩恵をもたらすと予想される。

  • 新標準になりつつあるEコマース:パンデミックを受けて、家庭ではウイルスに接触するリスクを極力減らすために、否応なしに実店舗の代わりとしてデジタル上での買い物へとシフトしている。

  • 現在優先されているのはデジタルコミュニケーション:より効果的なリモートワークやより実際に近いコミュニケーションを促進するためにはデジタルコミュニケーションの質向上が求められる。

  • 現在好まれているのはデジタルエンターテイメント:消費者がロックダウン(都市封鎖)期間中に時間を過ごす方法を見つけようとするなか、オンラインゲームや動画・音楽ストリーミングサービスはライフスタイルの一部となっている。

  • 一段と進みつつある決済のデジタル化:こうした傾向はデジタル上での買い物の増加や現金を介したウイルス感染への不安によって後押しされるとみられる。

世界中でインターネット利用者が急増する可能性

2019年の世界のインターネット普及率が58.8%であったことが示すように、世界人口の40%強はまだインターネットにアクセスしたことがない。これらの人々がインターネットにアクセスできるようになれば、テクノロジーセクターの需要を押し上げるとみられる。経済や社会が前進すればそれが促されることは間違いないが、新型コロナウイルスが流行していることも、人々がデジタル・ベースのライフスタイルに慣れていくなかでインターネットの普及拡大につながるであろう。原動力の1つとなっているのは、モバイルデータ使用量の継続的な増加である。通信機器大手のエリクソンによると、世界のモバイルデータ通信料は2019年から2025年にかけて毎年27%増加すると予想されている。携帯通信事業者の業界団体GSMAによると、2025年にはウェブユーザーのほぼ75%がスマートフォンだけでインターネットにアクセスすると予想されている1

1 出所:https://www.cnbc.com/2019/01/24/smartphones-72percent-of-people-will-use-only-mobile-for-internet-by-2025.html

チャート1

インターネットを支えるインフラの発達:5G効果

米国の民生技術協会(CTA)が毎年主催するデジタル技術見本市の「CES 2020」において、AT&Tやベリゾンなどの大手携帯キャリアは2020年が5Gにとって転換点になるとの予測を示した。5Gネットワークは利用可能エリアが急増し、全米でアクセス可能になると予想されている。

ダウンロード速度が4Gの100倍速いと言われている5Gは、良いタイミングで導入されることになる。超高速のインターネット接続は、非接触型経済を支えるものとして今回のパンデミック後の社会・経済にとって不可欠になるであろう。さらに、ネットワーク機器大手のシスコのレポートによると、2023年には5G接続は通信量が平均的な4G接続の2.5倍にのぼり、モバイル通信全体の10.6%を占めるようになると予想されている2

5Gは、様々な業種に深い影響を及ぼすとみられる。例えば、バーチャルリアリティやクラウド型ゲームの可能性を広げ、動画・音楽のストリーミング体験や家庭用スマートデバイスなどのIoT(モノのインターネット)接続を向上させるであろう。これが翻ってはデジタルデータの増大に拍車をかけ、そうして増加した消費者データを読み解く能力がある企業はさらなる恩恵を受けるようになる。

また、世界各国の政府が5G開発を支援する強い意欲を示しており、それも開発に弾みをつける要因となっている。表1は、投資情報サービスのビジュアル・キャピタリストによる2035年の5G開発状況予測を示したものである。

2 出所:Cisco Annual Internet Report, https://www.cisco.com/c/en/us/solutions/collateral/executive-perspectives/annual-internet-report/white-paper-c11-741490.html

表1

出所:ビジュアル・キャピタリスト(2020年3月現在)
https://www.visualcapitalist.com/visualized-where-5g-will-change-the-world/

バリュエーションの問題

アイエッジ・ファクトセット・グローバル・インターネット指数の12ヵ月先予想PERは42.8倍と高水準にあるように見受けられるが、当社では、インターネット関連企業は向こう数年間においてEPS(1株当たり利益)が大きく伸びる見通しであることによって正当化できると考えている。ブルームバーグのコンセンサス予想によると、グローバル・インターネット指数のEPSは、向こう12ヵ月間で61.0%成長すると予想されている。その後2年間においてもEPS成長率は2年先が16.4%、3年先が26.4%と予想されている。したがって、グローバル・インターネット指数のPERは、2年先には36.9倍とより受け入れやすい水準へ、3年先には29.1倍へと低下する見通しである。

また、グローバル・インターネット指数のEV(企業価値)/EBITDA倍率については、足元で26.3倍(12ヵ月先予想ベース)となっているが、1株当たりEBITDA成長率が12ヵ月先で36.8%、2年先で13.5%、3年先で24.1%と予想されていることから、2年先には23.2倍へ、3年先には18.7倍へと低下する見通しである。

未来に目を向ける

長期スタンスの投資家として、私たちはどのような未来になる可能性があるかを検討することが重要である。今は創造的破壊の時代であり、新型コロナウイルスの流行はそうした創造的破壊を加速させる一方となっている。今後どのようになるかを考えるとき、Eコマースやソーシャルメディア、検索エンジン、IoT企業が重要な役割を果たしていない世界など思い描けない。当社では、グローバル・インターネット企業へのエクスポージャーをとることで、投資家はポートフォリオを未来に備え、長年にわたって恩恵を享受できる可能性があると考えている。

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