2020年がパンデミック(世界的流行)の年として記憶されるのは間違いないだろう。金融市場の観点からはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)はもはや古いニュースと考えたくなるが、ウイルスは経済見通しにとって依然大きなリスクを呈している。
2020年は大半の人々にとっては忘れてしまいたい年であったであろう。しかし、新型コロナウイルス感染症が経済に与えた打撃が大きかったにもかかわらず、市場のパフォーマンスはかなり好調だった。豊富な流動性をもたらした大規模な金融・財政刺激策がパフォーマンスの最大の原動力であったとはいえ、短期的にはまだ楽観視できる状況かもしれない。金融システムに残る潤沢な流動性によって解き放たれるかもしれない繰り延べ需要を踏まえると、2021年以降はワクチンが普及するにしたがい需要が通常水準を超える可能性があるだろう。
米国は、過去10年間の大部分において悪材料が最も少ない市場とみなされ、新興国を中心として世界の他の国々がそれまでの10年間における不均衡な過熱状態からの調整に苦戦するなか、米国のオーバーウェイトを維持してきた者は報われる結果となってきた。現在、米国はCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の感染動向が最も深刻化している一方、各国による協調的な金融緩和によって米国以外の国々は成長に向かうリフレ環境がまさに生まれつつあるかもしれない。