長期・分散投資を基本とする株式投資家のみなさまに、今回から「神山流」経済の見方をお伝えして いきます。まずは、経済ニュースを“長期の話か” “目先の話か“に区別するよう心掛けてみましょう!
トレンドとサイクルとは
経済には、強いトレンドと行ったり来たりするサイクルの2つの見方があります。とはいっても、トレンドはわかりづらいので、行ったり来たりするサイクルに目を奪われるのではないでしょうか。
一番大事なのはトレンドで、人間の努力と工夫で世界経済が長期的に成長していくことを指しています。人口が増えるから成長するのではなく、人々の努力や工夫で生産性が高まり、私たちの生活が良くなっていくことで、株式投資の成果に結びつくことになるのです。

どんなニュースなら「サイクル」?
日々のニュースで見聞きする株価や為替、金利の上下動、GDP成長率の加速・減速などは、どれもサイクルに関わっています。簡単に言えば、1年以下の短期的な上下動がサイクルです。
サイクルは、人間の行動や心理の行き過ぎが原因となって発生します。サイクルの上の方(山)では、企業の売上が増えたのに、設備投資の増やし過ぎで利益がなくなり、結局は人員削減や設備を廃棄する、といったことが起こります。株式市場では、特定企業の良いニュースが報じられると、人気が出て株価が上昇し、一巡した後は買う人がいなくなって下落することもサイクルの例です。
投資信託などのプロの運用者は、このようなことを意識して売買します。しかし、長期・分散投資する投資家は、このように上下動する銘柄別の売買はプロの運用者に任せておけば良いのです。
どんな「トレンド」があるの?
人々の努力と工夫で成長していく、というトレンドを信じるならば、株式への長期・分散投資は自然な選択となります。この10年以上は「リーマン・ショックからの回復」が大きなトレンドです。米国はおおむね回復してきましたが、マイナス金利が続く日本や欧州はいまだ回復したとは言えませんが、回復すれば企業活動はもっと盛んになるはずです。
世界の産業のロボット化、宇宙開発と宇宙旅行などといったメガトレンドも、強いトレンドといえます。一つ一つが成功するかは不確実ではあるのですが、投資家自身がピンとくるトレンドに投資先を絞ることも自然な選択でしょう。このメガトレンドが一巡するのは、目先の株価上昇ではなく、身の回りがロボットで囲まれ、宇宙旅行が日常的になる時でしょうから、まだ先になると思います。