12月の金融市場は、欧米などで開始された新型コロナウイルス向けワクチン接種が好材料となった一方、感染の再拡大や変異種ウイルスの発生などが嫌気されました。年末にかけては、英国とEU(欧州連合)のFTA(自由貿易協定)合意に続き、米国で追加景気対策法が成立し、市場の安心感につながりました。
1月は、バイデン次期米政権の動向に注目が集まります。まず5日には、政策の実現度合いを左右する、ジョージア州上院議員選挙の決選投票が行なわれ、民主・共和両党が2議席を争います。ここで民主党が2議席とも獲得すれば、大統領・上院多数・下院多数が民主党となる、いわゆる「トリプル・ブルー」により、財政出動などが進めやすくなりますが、市場では、共和党が勝利し、「ねじれ議会」になるとの見方が優勢となっています。そして20日には、バイデン氏が第46代大統領に就任し、気候変動問題をはじめとした課題に取り組みます。
金融政策面では中旬以降、日米欧で金融政策決定会合が続きます。12月に、米国で量的緩和の長期維持、ユーロ圏で量的緩和の規模拡大および期間延長、をそれぞれ決定していることから、1月は現状確認にとどまるとみられます。当面は世界的な低金利が続く見通しですが、ワクチンの効果への期待が高まるなか、景気回復度合いと各中央銀行の金融緩和スタンスが今後の注目材料になると考えられます。
中旬からは、米企業の10-12月期決算発表が始まります。7-9月期は、巣ごもり消費やIT関連などの企業で好業績が顕著となりましたが、今期は、新型ウイルス感染再拡大に伴なう主要都市での行動制限などの影響もあり、米主要企業全体では前年同期比で減益となる見通しです。ただし、ワクチン実用化や経済対策への期待感なども背景に、2021年は増益が見込まれており、市場では、足元の業績のみならず先行きに関心が集まっています。
このほか中国では、中旬に10-12月期および2020年通年GDPが発表されます。新型ウイルスをいち早く封じ込めたとされる同国は、前年同期比4.9%であった7-9月期から加速、通年では主要国で唯一プラス成長が見込まれています。2021年見通しは約10年ぶりに前年比8%台の高水準となるなど、回復期待が高まっています。

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