昨年12月に閣議決定された2021年度予算案における一般会計歳出総額は、106兆6,097億円と過去最大規模となりました。一方、一般会計歳入総額は、税収が57兆4,480億円、新規国債発行額は43兆5,970億円と昨年度の1.3倍に膨らみました。国債残高は年々増加しており、国の財政は不健全な状況が続いています。

こうした国の予算などを見るにあたって、「兆円」という数字はあまりに大きく実感に乏しいため、下表で一般の家計に例えてみました。なお、下文の( )内は政府予算の該当部分を示します。

家計の年収を360万円と仮定すると、月々の給与(税収+税外収入)は30万円となります。家計における1ヵ月の生活費(一般歳出)は、通院・薬代(社会保障)のほか、教育費(文教および科学振興)、家の修理代(公共事業)などもかかるため、合計で32万円が必要です。既に、この時点で家計は給与を使い切っていますが、その他にも、実家への仕送り(地方交付税交付金)に8万円、ローン元利金返済(国債費)に11万円を充てなければならず、結局、足りないお金21万円を新たな借金(国債発行)で賄わなくてはなりません。従来のローン返済を行なう一方で、その返済額の2倍近い新しい借金をしなくてはならないうえ、こうした状況が長い間続いていることから、現在ではローン(借入)残高が約5,658万円にのぼる事態となっています。

2021年度は、社会保障費や防衛費が膨らんだほか、新型コロナウイルス対策で予備費も膨らみましたが、コロナ危機が長引けば、補正編成でさらに一般会計歳出総額が増加する可能性があるとみられます。しかし、国は国内外に資産を保有しているほか、金利も低い状況にあることなどから、直ちに大きな支障が生じる状況にはないとみられています。ただし、家計に置き換えた例でもわかるとおり、赤字体質が解消されずに借金残高が今後も積み上がれば、日本の財政に対する信頼性がさらに低下する懸念もあり、財政健全化に向けた取り組みが重要であることには変わりありません。

【図表】[左図]2021年度政府予算、[右図]家計(1ヵ月分)に例えた場合
  • 上記は2021年度政府予算をシンプルに解説することを目的としたものです。