米国やドイツの主要株価指数が史上最高値を更新し、日本や中国でも株価指数が数年来の高値を更新するなど、世界的に株価の堅調が続いてきました。その一方で、米国を中心に長期金利も上昇傾向となったことなどから、ハイテク株などを中心に、株価の過熱感を指摘する声も聞かれるようになっています。
左下の2つのグラフは、世界の主要株価指数の予想EPS(1株当たり利益)と米国の金利の推移をまとめたものです。これらを見ると、足元で米長期金利が上昇しているものの、昨春、底打ちした予想EPSについても、回復が続いていることが分かります。特に米国のナスダック総合指数については、足元の予想EPSがコロナ・ショック前の水準を大きく上回っており、同指数が世界的な株価上昇をけん引してきた理由の1つとみられます。また、中国のCSI300の場合、コロナ・ショックの影響が限定的だったことがうかがえます。一方、日本のTOPIXについては回復がやや鈍く、今後の追い上げが期待されます。
次に、右の2つのグラフは米株価指数の例ですが、他の国の場合もほぼ同様に、予想PER(株価収益率)は昨春以降、過去の平均を上回る水準で推移しているものの、足元では頭打ちとなっています。長期金利が上振れ傾向となっているだけに、PERの一段の拡大は難しく、むしろ、縮小の可能性も考えられます。ただし、米FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は23日の議会証言で、米長期金利の上昇は経済活動の再開や経済成長への市場の期待の表れだとの見解を示したほか、インフレ率について、昨年の急低下の反動で今年は高まるものの、広範な上昇とはならず、長続きもしないと述べました。さらに、FRBの金融政策がインフレの昂進や資産バブルを招くとは考えにくいとして、金融緩和を長期にわたって維持する方針を強調しました。こうした状況などを踏まえると、米国での積極的な金融・財政政策を背景に、同国を中心に今後も世界景気の回復が進む中、長期金利の上昇だけでなく、企業収益の回復も続くと期待されます。つまり、予想PERの拡大を伴なった株価上昇まで見込むのは難しいとしても、予想EPSのさらなる回復・拡大に伴なった株価上昇には十分、期待できると考えられます。
![【図表】[左図]指数ベースの予想EPSと米金利の推移(月末値)、[右図]米主要株価指数と予想PERの推移(月末値)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1680.jpg)
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