世界の金融市場では、米国株式が史上最高値水準にあるなど、堅調な推移が続いているものの、主要国の中央銀行が緩和的な金融政策の継続方針を強調し、低金利環境が続くと見込まれる一方で、長期金利の上昇に伴ない、警戒感が拡がっています。このように、先行きが不透明なことなどから、伝統的な運用戦略とは異なるヘッジファンドの運用戦略に関心が集まりつつあります。

ヘッジファンドとは、不特定多数の投資家を対象とする一般的な投資信託などと異なり、少数の機関投資家や富裕層などから資金を集めて運用を行なうファンドです。投資家を限定することで比較的自由な運用が可能なこともあり、先物取引や信用取引などを積極的に活用することで相場の上げ下げに関係なく利益を追求することをめざしています。また、ヘッジファンドには、株式や債券だけでなく、CB(転換社債型新株予約権付社債)や商品など幅広い資産を対象に、様々な投資戦略で投資を行なうものもあります。例えば、アービトラージ(裁定取引)と呼ばれる戦略では、投資対象間の金利差や価格差に着目し、割安な方を買い、割高な方を売ります。そして、イベント・ドリブンという戦略では、企業の経営に重大な影響を与えるM&A(合併・買収)や業務提携をはじめとした、重要な出来事が発生した際に生じうる価格の変動を、収益機会と捉えて投資することでリターンの獲得をめざします。

かつては投機的なイメージがあったヘッジファンドですが、規制の強化などもあり、投資プロセスなどの情報開示が大きく改善しているほか、世界的な低金利環境が続くとの見方から、分散投資の1つとして注目を集めています。市場の変化が激しく、先行き不透明感が続く中でも、様々な戦略を用いることで、市場環境に左右されにくい運用成果をめざすヘッジファンドの運用戦略は投資家の一定の支持を集め、世界のヘッジファンドの運用残高は2000年の約0.5兆米ドルから、2020年には約3.6兆米ドルと7倍を超える水準まで拡大しています(右下グラフ)。

日本国内では、ヘッジファンドの運用戦略を活用した投資信託によって、個人投資家の資産運用にヘッジファンドの運用戦略を組み入れやすい環境が整っています。より質の高い資産運用をめざすため、あるいは、分散投資の投資先の1つとして、ヘッジファンドの運用戦略を用いた投資信託を資産運用に取り入れてはいかがでしょうか。

【図表】[左図]主要先進国の10年国債利回り、[右図]世界のヘッジファンドの運用残高推移
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。