3月の金融市場では、上旬は米国の1.9兆米ドル規模の経済対策などによる景気の回復期待やインフレ加速懸念を背景に、米長期金利が上昇傾向となったことを受けて、割高感などが意識されたハイテク株を中心に株価が大きく下落する場面がみられました。しかし、月末にかけては、NYダウ工業株30種平均が最高値を更新するなど、株価は世界的に堅調に推移しました。
4月は、米政権が前月末に発表した総額2兆米ドル規模のインフラ投資計画と、その財源確保などに向けた企業増税の行方が注目されます。増税による経済への影響は懸念されるものの、バイデン米大統領が選挙公約に掲げたEV(電気自動車)の充電ステーションなどのインフラ整備を進めることで、景気刺激と気候変動対策の両面からの効果が期待されます。今回の発表は成長戦略の第1弾とされており、4月後半にも第2弾として、医療など社会福祉の拡充策が発表される予定であることから、あわせて動向が注目されます。また、中旬以降には、米欧や中国の1-3月期GDP成長率(速報値)が発表されます。米国は悪天候による企業活動の減速などがあったものの、個人消費の回復などを受けて、前期比年率4%程度の成長が見込まれています。また、中国は1年前に既にロックダウン(都市封鎖)を行なっていた影響もあり、前年比18%程度の高成長が予想されています。
6日に発表が予定されるIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、米国の追加経済対策などを受けて、世界経済の成長率見通しを引き上げが見込まれています。
このほか、中旬以降に本格化する米企業の1-3月期決算の発表では、米国の景気回復を受けた堅調な内容が予想されています。さらなる景気回復を見据えた楽観的な見通しが広がれば株価の上昇に繋がると期待されます。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大は、引き続き懸念材料と考えられます。昨年12月に欧米で開始されたワクチン接種が世界各国に拡がりつつあるものの、変異種の流行などから、ドイツでは、ロックダウンが4月中旬まで延長されているほか、フランスやイタリアの主要都市でも継続されています。また、ロックダウン導入から1年が経過したインドでは、感染対策の不徹底によって感染者が再び急増しています。こうしたことなどから、引き続き新型ウイルスの感染拡大による経済への影響には注視が必要であるとみられます。

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