急速に普及が進むAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったロボティクスの技術は、製造工程を効率化させて労働力不足を補い、私たちの生活の質も向上させています。この技術は、いま注目の宇宙産業でも重要な役割を果たしています。
宇宙産業の主役は民間企業へ
2000年代以降、国家主導から民間企業に主役が移った宇宙産業には、大きく分けると、ロケットや人工衛星の製造・打ち上げなどの機器関連と人工衛星などの利活用関連があります。
前者はAIを活用した3Dプリンタなどの技術革新による開発コストの低下で商用化が進みました。後者は地球レベルの通信網や資源発掘、発電などへの活用が期待されており、地上で培ってきたロボティクスの技術やノウハウが活かされています。
宇宙での作業に不可欠なロボット
真空・放射線・温度変化など過酷な環境にある宇宙空間では、多くの場面でロボットが宇宙飛行士を支援しています。中でも、施設の建設や保守・保全作業、実験などでロボットアームが重要な役割を担っており、ロボティクスの技術が安全性や耐環境性、遠隔操作性などを高めています。
昨年末には、日本のベンチャー企業GITAIが宇宙で組立作業する自律型ロボットの地上実験に成功しており、年内にもISS(国際宇宙センター)で実証実験する計画です。同社は将来的に、衛星のメンテナンスや宇宙ゴミの除去、基地開発作業など、汎用作業のロボット化を目指すとしています。
人工衛星の活用で地球レベルの通信網
常にインターネットとつながり情報に囲まれている現代社会。最も身近なツールとして携帯電話がありますが、通信はすべて無線ではなく無線基地局間は有線ケーブルでつながれているため、大規模な災害発生時などには安定した通信環境の確保が難しいとされています。
そこで現在、地球レベルでの通信網の開発が進められています。具体的には、複数の小型人工衛星を連携させて地球全体を仮想大型衛星で包む、という衛星コンステレーション構想です。これにより、地球上どこにいてもデータ通信が可能となり、同じ教育や遠隔医療が受けられ、携帯電話での決済やフェアトレード(公正な取引)も行なえるなど、経済格差の解消が期待されています。
ロボティクスの技術などで加速する宇宙業界の市場規模は、2040年に現在の約2倍の80兆円になると予測されています(文部科学省資料より)。今後、宇宙はより身近な存在になり、私たちの生活をさらに豊かにしてくれるでしょう。
![【図表】[左図]宇宙関連機器で活用されていると
みられる主なロボティクスの技術、[右図]宇宙業界の世界市場規模](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1695.jpg)
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