4月の金融市場では、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念された一方、ワクチン接種の拡がりに伴なう経済活動の正常化期待が高まりました。また、米欧中央銀行が金融緩和の継続を強調し、長期金利が安定的に推移したことも好感され、株価は世界的に堅調に推移しました。

経済指標が材料視される可能性
5月は、日米欧で金融政策決定会合などの重要イベントがないことから、4月から続く米企業の1-3月期決算発表や経済指標などの内容が、株価の材料となりそうです。

特に米国では、4月の製造業PMI(購買担当者指数)が2007年5月(統計開始)以来の高水準となるなど、足元の経済指標からは景気回復の力強さがうかがえます。なお、FRB(連邦準備制度理事会)は4月の会合で、景気判断を引き上げたものの、最大雇用と物価の安定のさらなる進展にはしばらく時間を要するとの見解を改めて示しています。

また、バイデン大統領は4月28日の施政方針演説で、企業や富裕層への増税を財源とした総額4兆米ドル規模の経済政策案や、中国への対抗姿勢などを改めて示しており、今後の政策運営に注目が集まります。

経済活動正常化に向けた動きが拡大
新型ウイルス向けワクチン接種については、海外では、先進国を中心に普及が進んでいます。米国で、2億回接種とした目標を前倒しで達成したほか、ロックダウン(都市封鎖)などを行なってきたフランスでも感染状況が改善傾向にあり、今月3日以降は外出や店舗営業の制限緩和が徐々に進む予定です。アジア・オセアニアでは、隔離期間なしで移動できる「トラベル・バブル」が、4月のオーストラリア・ニュージーランド間に続き、今月26日からはシンガポール・香港間などでも開始予定とされるなど、各地で行動制限が緩和されつつあります。

このように、経済活動の正常化に向けた動きの拡がりは、個人消費や企業活動の回復などを通じて景気の押し上げにつながると期待されます。

日本では、決算発表が中旬にピーク
このほか日本では、14日が企業の2021年3月期の決算発表集中日となっています。米中景気の回復や円安進行などを背景に、自動車関連を中心に業績上振れが見込まれています。市場ではすでに、業績回復を織り込んだような株価上昇もみられましたが、予想を上回る決算内容や見通しが示されれば、業績主導での堅調な展開が続くことも期待されます。

【図表】5月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。