近年、力強い上昇で注目されるNASDAQ100指数は、世界最大の新興企業向け株式市場、ナスダックに上場する企業のうち、金融業を除く時価総額上位100社の株式で構成されています。同指数には、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やAI(人工知能)、SaaS(クラウド型のソフトウェア提供サービス)、EV(電気自動車)といった、今後の社会を一変させ得る技術分野のトッププレイヤーが揃っており、構成銘柄の多くはコロナショック以降、飛躍的な株価の上昇を見せました。

ところが今年2月中旬以降、同指数は上値の重い状況となっています。米長期金利の上昇や金融緩和の縮小懸念などから、高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に利益確定売りが拡がったことに加え、米国でワクチン接種が進展するにつれ、経済活動の正常化や金利上昇が追い風となる景気敏感株や金融株などの投資妙味が目先、高まるとみられていることが背景にあります。また、4月の米消費者物価指数の上昇率が市場予想を超えて加速したことで株価が大きく下落するなど、市場にはインフレに対する警戒感が拡がっています。

一方で、ハイテク企業の業績面を見ると、NASDAQ100指数の構成上位銘柄は、2021年1-3月期の決算で次々に市場予想を上回る売上高や営業利益を計上するなど、堅調な業績を示しています。また、同指数の予想EPS(1株当たり利益)は、一般的な米株価指数に比べて、足元で上振れが顕著となっています。

つまり、ハイテク企業の業績見通しは引き続き良好であり、中長期での高成長が見込まれる状況に変わりはないと考えられます。だからと言って、ハイテク株ばかりがやみくもに買い続けられれば、それこそバブルが懸念されることになりかねません。そうしたことから、現状のように、コロナ禍を巡る不透明感の後退や景気回復見通しの強まりといった環境の変化に伴ない、目先の恩恵が期待される、割安株・出遅れ株に投資家の関心が移るような状況は、むしろ健全な市場の状態であると言えます。

今回の株価調整は、ハイテク株への成長期待が一段と上昇していた中で起こったことから、ハイテク株のPERは低下し、バリュエーションが改善傾向となっています。そのため、このままハイテク株の売りが続く可能性は低いとみられ、今後、株式市場で業績相場の様相が強まる際には、中長期の利益成長性で勝るとみられるNASDAQ100指数が優位に立つと期待されます。

【図表】[左図]NASDAQ100指数の構成上位銘柄、[右図上]主な米国株価指数の推移、[右図下]主な米国株価指数の予想EPSの推移
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